ソフトバンク本多には、首痛のほかに悔やまれるケガがもう1つある。15年4月12日の熊本での日本ハム戦で、一塁を駆け抜けた際に右足首を捻挫した。工藤監督就任の年だったが、そのケガから出番が失われていった。

首痛は12年4月28日ロッテ戦で、二塁へ頭から帰塁した際に痛みが本格化した。「それからは、1年に1度は必ず、突然痛みがやってくる。今年も朝起きて歯を磨こうとしたら突然電気が走った」と、いつ発症するかの恐怖とも戦った。治療だけでなく、首の筋肉を鍛えることも続けた。

「赤星さんのような感じ」と、決死のダイビングキャッチで負ったケガをきっかけに09年に33歳で引退した阪神の名外野手、赤星憲広氏のように、1つのプレーでもう野球ができなくなる危険性を感じていた。それでも「体が勝手に反応する。飛ばなかったら自分のプレーじゃない」と高いライナーにも飛びつき、エビぞりになりながらグラブで打球をつかんだ。こだわり続けた二塁手で勝負できなくなった今、自ら引退を選んだ。【ソフトバンク担当=石橋隆雄】