生還した西川を迎える栗山監督(2019年4月9日撮影)
生還した西川を迎える栗山監督(2019年4月9日撮影)

思うような試合運びから遠のく中でも、長崎で見る日本ハム栗山英樹監督(57)の顔は生き生きとしていた。移動日だった8日。「憧れの人に会って来たんだよ」。チーム便より早い航空機で長崎入りすると、さっそく“心の洗濯”のため町へ繰り出した。

「長崎は良いものを受け入れる雰囲気がある」。歴史上、初めて世界に向けて開かれた港町は、栗山監督の知的好奇心を満たすものであふれている。足を運んだのは「1度、見たいなと思っていた」という長崎孔子廟(びょう)だ。新1万円札の肖像画に「論語と算盤(そろばん)」の著者、渋沢栄一が決まり歓喜したほど、儒教には造詣が深い。2カード連続で負け越し「いろいろなことを、引っ張っていた」というが、儒教の創始者である孔子の霊を祭る場所で、気持ちをいったん、リセットした。

今季はショート・スターターの導入や極端な守備シフトなど、思い切った策に取り組んでいる。目新しいものは、失敗すれば批判を生みがち。それは、覚悟の上だ。人生の達人は逆境を楽しむと、孔子は説く。「いい時間だった。ちょっと、物事を考えすぎているかなって思っていたので」。幸い、8日の長崎は春の陽気に包まれて、まさに散策日和だった。長崎孔子廟(びょう)、坂本龍馬像などなど、興味のある場所を訪ねて複雑に絡み合っていた心を洗った栗山監督は、再び戦場で指揮を執る。【日本ハム担当 中島宙恵】

日本ハム栗山監督
日本ハム栗山監督