<楽天4-3ソフトバンク>◇9日◇楽天生命パーク

プロ野球のベンチワークで最も難しいのが「継投」とよく言われる。先発完投型から分業制へ移行して久しい。かつての大エースと呼ばれた人たちなら「これは俺の試合だ!」と言って、最後までマウンドに立ち続けたのだろうが、今はその姿もロマネスクだ。

7回94球。2失点の粘投で初体験の敵地マウンドに上がったソフトバンク大竹は、バスタオルとグラブを持ってベンチ裏に引き揚げた。まさにその直後。2番手モイネロが代打渡辺直に痛恨の同点1号ソロを被弾。大竹の白星が消えた。それどころか、9回サヨナラ負けでチームは2戦連続の屈辱敗戦となった。

結果論と言われれば、そうかもしれない。だが、まだ94球。今季最少数だった大竹の続投はなかったのだろうか。腐心の継投策ということは重々承知しているが、交代ならば前日(8日)、8回に2ランを被弾した甲斐野を2番手で送り込んでもよかったのではないだろうか。大竹はけなげにも2回に被弾した2ランを猛省していたが、完投の体力は十分にあったという。試合前練習中には初体験のマウンドの状態を入念に確認。今季6試合目の登板に向け調整法も変更して臨んだ。伸び盛りのサウスポーに託してもよかったように思う。

98年、横浜ベイスターズ(現DeNA)を日本一に導いた権藤博監督(現プロ野球評論家)は絶対的守護神だった大魔神こと佐々木を据え、中継ぎ陣の「ローテーション」が話題を呼んだ。「打たれたヤツは連投で使う」が信念だった。継投策であれば、8回の甲斐野が見たかった。【ソフトバンク担当 佐竹英治】