<ソフトバンク5-1西武>◇16日◇ヤフオクドーム

ソフトバンク甲斐はマスク越しに2年目サブマリンをしっかりリードすると、バットでも殊勲の1発を放ってみせた。鉄砲肩を評して「キャノン砲」の異名を取る。もちろん、強肩だけの評価で終わるつもりはない。

同点の7回だった。グラシアル、内川が三振に倒れた2死走者なし。カウント2-2からの6球目。外角寄りの直球を右中間へはじき返した。打球はテラス席へ飛び込む決勝の4号ソロとなった。「打った瞬間、『入れ!』という気持ちで走った。上位打線につなぐことが大事だけど、結果的に最高の形になりました」。女房役の1発でリードを保つと、打線は8回に3点を追加。チームの3連敗を止める殊勲の一打となった。

本業のリード面も強気に、冷静に先発サブマリンを誘導した。先発高橋礼には「自分を信じて、自分のボールを投げるのが一番」と鼓舞し、背中を押した。前2試合で7発を放った「山賊打線」にもひるまず、思い切り内角も要求した。ゴールデンウィーク後は1勝6敗。そのうち5試合が逆転負け。投手が打たれれば、責任を痛感する。前日15日は9回に守護神森が外崎に逆転2ランを被弾。「勝っていた試合を逆転されて。キャッチャーの責任。森さんともしっかり話した。悔しい思いをしたし、もっと自分が力をつけたい」。甲斐はそう言って口元を引き締めた。

9回は森が3人で締めた。ゲームセットの瞬間、甲斐はマウンドに駆け寄って森に抱きついた。「自分を信じろ」-。後輩高橋礼にかけた言葉は、自らへのエールだったかもしれない。【ソフトバンク担当 佐竹英治】