ロッテのドラフト2位東妻勇輔投手(23)が1日のオリックス戦で初勝利を挙げた。延長12回から登板し3者凡退。サヨナラ勝ちを呼び込んだ。試合終了は午後11時33分。試合後両親に電話をかけた。「ずっと見てくれて、おやじは見終わった後、バタンキュウだったみたいです」。5時間18分の熱戦だった。

苦しんだ末の1勝だった。5月19日、元中日投手で日体大時代に指導を受けた辻孟彦氏を尋ねた。プロ入り後、1年間戦っていくため、投げっぷりの良さを抑えたところ、逆に制球が定まらなくなっていた。当時のイースタン・リーグでの成績は9試合に登板し防御率10・13。「近況報告を含めて、いろいろ悩んでたのでアドバイスをもらおうと思って。『お前の良さは強気で投げられるところだぞ』と言ってもらった」と、きっかけをつかんだ。

その日は偶然、大学4年間でしのぎを削った西武松本の初登板。2人でiPadの映像に見入った。5回2失点で白星を手にしたライバルの姿に「松本勝ったのに、俺なにやってんのかな」と刺激を受けた。その後はファームで11試合に登板し防御率2・03と成績を上げ、7月3日に初の1軍の切符をつかんだ。

智弁和歌山で捕手を務め今秋ドラフト候補の弟、純平は8日に甲子園初戦が控える。甲子園用の宿舎に入る前日に電話で話し「俺の(初勝利の)ことはいいから、お前は甲子園を頑張れ。プロに行きたいんだったら少しでも上に行けるようにしろ」とエールを送った。夢の兄弟バッテリーの実現に向け、それぞれの戦いの場で奮闘する。【ロッテ担当 久永壮真】

智弁和歌山・東妻純平(2019年7月24日撮影)
智弁和歌山・東妻純平(2019年7月24日撮影)