<ソフトバンク8-4日本ハム>◇10日◇ヤフオクドーム

ソフトバンクが2位日本ハムとの本拠地「夏の陣」で逆転勝利を収めた。試合後、チームの勝利を慰労した王球団会長の足取りも軽かった。「1試合で2試合分あったような試合だったね。今日の勝ちは大きいよ。(首位決戦の)頭を取れたしね。(日本ハム先発の)有原もよかったからね」。4点差をひっくり返した。中盤以降は敵失も絡んで計8得点。助っ人グラシアル、モイネロを含め、故障からの復帰組も躍動した。

どちらにとっても負けられない一戦。勝敗を左右する局面に「四球」が絡んでいたように思う。5回、日本ハムに4点を先制された。ソフトバンク千賀は1死一、二塁から3番王柏融にカウント2-2と追い込んで連続ボールで歩かせた。1死満塁とし4番近藤の遊ゴロ併殺崩れの間に1点。さらに2死一、三塁から渡辺に3ランを浴びた。両エースの投げ合い。4失点は痛恨だった。「(王柏融は)アウトを取っておきたかった。(次打者の)コンちゃんはなかなか三振が取れない打者ですし」。マスクをかぶった甲斐は勝利の余韻に浸りながらも反省を忘れなかった。

だが、追いかけるホークスに勢いをもたらしたのも「四球」だった。6回、先頭福田がカウント1-2と追い込まれながら歩いた。二塁盗塁と甲斐の中前打などで3得点。1点差に迫り、チームは息を吹き返した。5回まで2安打に封じられていた日本ハム先発有原を攻め、敵失もあって計8得点の逆転勝利である。

首位争いの戦い。投手戦もあれば、打撃戦もあろう。もちろん、エラーは痛恨事だが、1つの四球が勝負の流れをガラリと変える。ホークス監督時代、王球団会長が口酸っぱく言っていた言葉を思い出した。

「投手は制球力。打者は選球眼」--。【ソフトバンク担当 佐竹英治】