ロッテ和田康士朗外野手(21)の勇気が、後輩たちを勇気づけた。19日、ソフトバンクとの開幕戦でプロ初盗塁を決めた。0-1の9回に代走で出場し“甲斐キャノン”を打ち破った。その後、一時同点となるホームを踏んだ。

テレビ観戦をしたBCリーグ・村山哲二代表(55)は「鳥肌が立ちました」と振り返る。「私たちスタッフにも、ファンにも、選手にも、あの盗塁はすごく大きなモチベーションになりました」と喜ぶ。和田は17年にBC・富山でプレー。トライアウトで吉岡雄二前監督(48=現日本ハム2軍コーチ)に俊足と強振を評価された。「富山での1年がなければ今の自分はない」と言うほど伸びた。

06年に4球団でスタートし、今季は12球団が参加する国内独立リーグも、コロナ危機に見舞われた。NPB球団ほど経営基盤は強くない。村山代表は4月下旬には「興行できなければ、ほとんどの球団はなくなると思います」と強い危機感を募らせていた。

リーグ、各球団の努力の末、19日にシーズンが開幕した。同じように努力を重ねて大舞台にたどりついた和田の盗塁は、何よりの“前祝い”だった。「たった1つの盗塁だけれど、開幕に向けてヘトヘトになっている私たちに、とてつもない勇気を与えてくれました」。富山の開幕戦ではNPBより一足早く「屋外イベント」扱いで観客が数百人集まった。第2の故郷の奮闘は、これから幾多の修羅場をくぐり抜ける和田にとっても、勇気になる。【金子真仁】