異国の地で名前を呼ばれて驚いた。取材で訪れた今年1月の米国ハワイ。私は雨の降る夜、窓のないトロリーバスに乗っていた。突然、名前を呼ばれてキョロキョロしていたが、よく考えて声の主が自主トレ中の福留選手だと気づいた。福留が歩道を歩いていたとすれば、すれ違ったのは一瞬だったはず…。次の停留所で降りて探したが、見つからず。のちにその話をして笑われた。
野球選手としてもっとも優れた能力は? 福留選手が打撃の師匠と仰ぐ佐々木恭介氏に、以前そんなことを聞いた。「すごく見てる。あいつが何でええか。自分の今の体力と状態を考えて、じゃあオープン(スタンス)にしようかとなる。人から言われたら変えないけど、自分で考えてね」。それは洞察力だという話だった。
球界最年長となった今季は控えに回ることが多かったが、ベンチ最前列で鋭い眼光を光らせた。相手選手の動きをつぶさに見る。後輩たちには気づいた点を助言するシーンに何度もあった。培った経験はもちろん、他の選手には気づかないヒントがそこにはあったに違いない。衰えることのない洞察力を来季も現役で見たい。【阪神担当=桝井聡】




