「この野郎! 気い抜いてんじゃないよ!」。無観客の球場に61歳の怒号が響き渡った。声の主は平田勝男2軍監督。怠慢な守備練習をしていた選手の尻をたたいた。荷物整理をしていた記者は、思わず試合前練習が行われているグラウンドに目を向けた。

今月8日から宮崎県でフェニックス・リーグが開幕した。今季は新型コロナウイルス感染拡大の影響による変則シーズン。1軍がまだ試合を残すなか、若虎たちが来シーズンに向けて汗を流している。だが、選手に負けじと平田監督も相当に気合が入っている。

「来季に向けてフェニックスに来てるんだから無難にやっちゃだめよ。それを我々が背中を押して『いけっ!』と、言ってあげないといけない。シーズンと違うんだから」

2軍にいる選手を大きく育てたい。そんな思いから、「この野郎」という言葉が発せられたのだろう。

開幕から3日目の10日。ロッテ戦後に、チームは試合後練習を行った。投手陣は球場の外周を走る3000メートル走。また、平田監督がゲキを飛ばした。

「(西)純矢! 最後まで最後まで!」

「石井! なにやっとるんや!」

「福留が限界作るなって言ったやろ! 自分で限界作ってどうすんねん! 」

顔を真っ赤に紅潮させながら走る投手陣を鼓舞した。ついにはタイムを測定していた権田トレーナーにも「お前がハッパかけんとあかんねん!」と、ゲキは裏方まで。熱血さはチームで一番だ。

西純、井上ら高卒ルーキー5人を含め、2軍には期待の若虎が数多くいる。来季は1軍で戦力にするために、平田監督は日々グラウンドで叫び続ける。【阪神担当=只松憲】