2年目を迎えた阪神19年ドラフト1位西純矢投手(19)の飛躍を、恩師の創志学園(岡山)長沢宏行監督(67)も楽しみにしている。12月中旬に同校のグラウンドへ取材に行った。

高卒1年目は2軍で11試合に登板し、4勝3敗。防御率4・00の成績を残した。45イニングで27四球、27奪三振。長沢監督は「四球が少なくて三振数が増えているのは、やっぱり指導がいいんだなと。安藤(優也)育成コーチが、丁寧に見られているんだろうなと思います」と、数字を見ながら成長を感じ取った。

昨年11月のフェニックスリーグでは、ツインズ前田を参考に、投球動作で左足を上げた時に、グラブを「ポンッ」と当てて間をつくる新フォームに取り組んでいる。長沢監督も高校時代の西純に同じような投げ方を指導しようと考えたこともあったが「高校野球では2段モーションと取られる可能性もある」と、断念したことがあった。「ポンッとやることで、打者へのタイミングもズレるし、自分もしっかりと割れをつくることもできる」と、しっかり前へグッと出る下半身の力を上半身へと伝えるなどメリットが多いと説明した。西純本人も力みがなくなり安定感が増したと手応えをつかんでいる。

2年生エースとして甲子園を沸かせた18年夏、ガッツポーズを審判から注意された。長沢監督は「ああいうものがプロでは必要だと思う」と、闘志むき出しで自然と雄たけびを上げるガッツポーズの復活にも期待した。それ以来の甲子園出場を狙った昨秋は、岡山1位で出場した秋季中国大会で、1回戦で宇部鴻城(山口)に敗退。センバツへの夢が断たれた。西純から「弱い、変な伝統をつくってしまいましたね」と電話があったという。18年秋の中国大会準決勝で広陵(広島)に西が7失点し完敗。勝てばセンバツ切符濃厚だった試合で負けた。西純が抜けた19年秋も中国大会準決勝で敗退。長沢監督は「自分(の敗戦)から3年連続でということでしょうが、そういうことが言えるのは大人の言葉というか、そういう部分は大事にしてほしいですね」と、心の面でも成長を感じていた。

西純は今春の沖縄・宜野座での1軍キャンプへの抜てきの可能性もある。記者はこの1月からアマ野球担当から阪神担当へと変わった。現場で西純が強力投手陣の中、どのように台頭してくるのか楽しみに取材したい。【阪神担当 石橋隆雄】