<ソフトバンク紅白戦:白組2-2紅組>◇15日◇アイビースタジアム

ソフトバンクは紅白戦が始まった。いきなり注目の大砲候補・リチャードが豪快なアーチを放ち、復調を誓う上林にも1発。5年目三森もランニング本塁打を放って気を吐いた。常勝チームの激烈なサバイバル戦がいよいよスタートした。

実戦スタートのこの時期まだまだ「投高打低」のはずだが、小久保ヘッドがキャンプインから課す1日1000スイングの振り込みが効果を発揮しているのだろうか。柳町、栗原、釜元らの若手も快音を響かせた。

そんな中で注目したのは紅組の3番手でマウンドに上がった左腕川原だ。松田、長谷川、上林の3人を12球で料理した。すべて内野ゴロに仕留め、1イニング無失点投球。最速148キロの直球に変化球を駆使し、しっかりと実績ある打者を打ち取った。先頭打者の松田はカウント3-2となった。川原の課題は制球力。今季の「初登板」で先頭打者を歩かせるか、しっかり抑えるか…。彼にとっては大きな分岐点となる1球だったと思う。ブルペンを預かる高村投手コーチもこの1球を注視していたと言った。「あそこで四球にするかどうか。でも、しっかり投げたと思います。いい投球だったと思いますよ」。川原の実戦初マウンドに目を細めた。

川原はキャンプイン後、投球時の左腕を下げ気味に修正した。「たぶん、自分の中でその(腕の)位置がしっくりきたんでしょう」と高村投手コーチは言った。今季プロ12年目を迎え、1月は千賀、石川とともに宮古島自主トレに参加。生き残りをかけ昨年の最多勝コンビとともに汗を流した。モイネロ、嘉弥真と中継ぎ左腕はいるが、身長187センチの長身からサイド気味に投げ込む川原が安定した力を発揮すれば、ブルペン層はさらに厚さを増す。度重なる故障で支配下から育成、そして再び支配下として背番号「63」を勝ち取った苦労人。厳しいサバイバル戦を勝ち抜いてもらいたいものだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】

紅白戦4回裏白組1死、長谷川を二ゴロに抑え、指で2をつくる川原(撮影・岩下翔太)
紅白戦4回裏白組1死、長谷川を二ゴロに抑え、指で2をつくる川原(撮影・岩下翔太)