ピンチはチャンス、七転び八起き、災い転じて福となす…。西武の新戦力台頭が尽きない。象徴的だったのが7日楽天戦(メットライフドーム)で、ルーキー若林楽人外野手が5回に放った1号ソロ。これがブランドン内野手、渡部健人内野手に続く球団新人3人目のプロ1号で、西武の新人3人が本塁打を打つのは、81年の石毛、岡村、広橋以来40年ぶりだった。開幕から10試合目だから余計に記録が際だつ。

新人だけではない。6年目の呉念庭内野手、愛斗外野手も、昇格と同時にプロ1号を放った。今振り返ると春季キャンプでの組み分けが、功を奏している。若林、ブランドンは1軍の空気に慣れさせるために、初日からA班帯同。慣れながら成長を促した。一方で伸び悩む控え組はB班で過ごした。呉も愛斗も初アーチの後の取材で、結果の理由に「フォームの抜本的な変更」を口にした。B班キャンプ地の高知で自ら見直し、反復練習を繰り返した結果だった。

開幕から、山川穂高、栗山巧、外崎修汰の主軸が離脱。さらに代役の二塁手だった山野辺翔まで負傷によって登録を抹消された。野手陣にけが人続出の窮地に立たされながら、2軍から昇格した選手が、次から次へとその穴を埋め、一時は首位に。5球団との対戦がひと回りしても、しっかり貯金3と大健闘している裏には、キャンプでの濃密な時間があった。

苦しい台所事情をやりくりする辻発彦監督の言葉が力強い。「(控え組が)今までレギュラーでやってきたメンバーと一緒にやって、いろんなことを学んで成長してくれれば。チーム力として、みんな帰ってきたときに、さらに強くなっているような気がするんでね」。この苦境にも、指揮官自ら腹を据えてドッシリと構えているから、若手も思いっきりバットを振れる。まだまだ新戦力の話題は尽きることがなさそうだ。【西武担当=栗田成芳】