そういえばロッテ、福岡で最近勝ってないのでは? と思って黒星を数えたら10連敗。気付いたのが11日のソフトバンク-ロッテ7回戦の前だった。夜、二木康太投手(25)が6回1失点の好投で連敗を止めた。

二木は開幕戦でソフトバンクに3被弾し、敗れていた。「リベンジできましたか?」と聞いた。「それはありました。けど」と続いた。「今日勝ったからよかったではなく、野球をやっているうちはずっと忘れない、忘れてはいけない試合だと思います」。自身初の開幕戦。チームはそこから5連敗した。自分史に刻まれる大きな負けだった。1度やり返したからそれで補てん、なんて単純なものではない。安直に聞いたことを少し後悔した。

二木と開幕戦で思い出すのが、井口監督就任直後の17年11月。納会で、お酌に来た先発投手陣が次々に「開幕投手をやりたい」と願い出たと聞いた。翌日のイベントに二木が出席していたので真偽を尋ねた。「僕はそこまではっきりは…」と控えめな反応。だがその年初めて規定投球回をクリアしており、改めて聞くと「井口監督になって最初の公式戦で自分が投げたい。軽い気持ちでは言えないです」と答えた。気持ちを前面に出すタイプではなかった。結果が伴ってきて言葉にできるようになったと、監督は喜んでいた。

結局翌年の開幕投手は涌井だった。その次の年は石川。その次も石川。なので今季は二木と聞いた時「ついに」と思った。しかも過去2年で10戦7勝無敗のソフトバンク戦。いいスタートが切れそうな気がした。

しかしこれも防御率は3に乗っていて、本人は「投げづらい打者しかいない」と言っていた。2年間負けなかったから、今年も負けないわけじゃない。安直に「得意のソフトバンク戦ですね」なんて聞いてはいけないなと思って見ていた。

開幕戦は負けたが、連敗を止めたのは二木。連敗前最後の勝利投手も二木だった。それが昨年10月9日。覚えているか聞いたら「ああ、コロナの時…」と返ってきた。コロナ禍で大量離脱に見舞われた直後のチームを支えた。決して大きなことは言わないけれど、いいところで、堂々たる姿を見せている。控えめだった背番号64とはもう違うんだなと、ふと思った福岡出張だった。【遊軍=鎌田良美】