6月5日、DeNAの初代キャプテンで昨季限りで退団した石川雄洋氏(36)の引退セレモニーが、横浜スタジアムでのロッテ戦後に行われた。翌日からアメリカンフットボールXリーグのノジマ相模原に合流し、新たな舞台でプレーすることが決まっていた同氏。最後まで多くのファンに愛され、それに感謝する姿とともに「第2の人生」に踏み出す強い決意を感じた。

セレモニーのあいさつで「アメリカンフットボールで第2の人生をスタートすることになりました。競技は違いますが、石川雄洋らしく楽しく生きていきたいと思います」と宣言。その後の記者会見で「区切りとして最後にファンの皆さまの前でしっかりと自分の気持ちを伝えられたので、明日からアメフトに向かって、しっかり切り替えが出来たかなと。ファンのみなさまとともに僕も成長してこられたと思っているので、本当に感謝したいです」とはれやかな表情を見せると、新たな目標へ向け「プロの世界で16年間やらせてもらったことは誰もが出来る経験ではないので。これを次の世界に生かしていくのも殺すのも自分次第。少しでもXリーグの発展に貢献できればいいかなと思います」と言葉に力を込めた。

ファンを愛し、愛された初代キャプテン。セレモニー終盤の場内1周では、声援に手を振って応えながら、スマホを取り出して自撮りをするシーンが印象的だった。意図を問われて「いや、なんかインスタに載せようと思って」と笑いを誘った石川氏だったが、しみじみとした表情で言葉を続けた。「でも本当に、僕が入ってきたときはスタンドもガラガラで、いつ来てもチケットが取れる状態だった。もちろんそういう時から応援してくれるファンもいますし、やっぱり強くなり始めてからたくさんファンが来てくれたと思うんですけど。もう横浜スタジアムでああいう光景を見ることもないと思うので。声援を送ってくれた人たちの応援というか歓声、僕の野球人生の中でも忘れることはないと思う。そういう意味でも携帯を取り出して撮ったんじゃないかな」。

この日の観衆1万6479人は今季最多。人数制限で満員のほぼ50%ではあったが、チーム創設時の観客動員の少なかったころを知る石川氏からすれば、ヨコハマブルーに染まったスタンドに感慨深いものがあったのだろう。競技は違えど、同じ神奈川で新たな道を歩む石川雄洋選手。「第2の人生」でも積極果敢なプレーで、多くのファンを魅了する存在となって欲しい。【遊軍=鈴木正章】