<オリックス3-0ソフトバンク>◇3日◇京セラドーム大阪

大阪の空は、雲ひとつない秋晴れだった。京セラドーム大阪にオリックスの球団歌が鳴り響き、1万人を超える観衆からは大きな歓声と拍手が巻き起こった。9回表1死一、二塁。ストッパー平野佳が、ソフトバンク栗原を併殺打に打ち取った。四半世紀ぶりのリーグVを目指すオリックスにとって、がっちり首位キープの3連勝。昨年までは消沈気味だった球場の雰囲気は一変していた。

オリックス対ソフトバンク ファンへのあいさつを行い引き揚げる工藤監督(撮影・前岡正明)
オリックス対ソフトバンク ファンへのあいさつを行い引き揚げる工藤監督(撮影・前岡正明)

対照的にソフトバンクは足取りが重かった。敵地での同カード最終戦。試合後にホークスナインは鷹ファンが陣取る左翼席へ向かってグラウンドにあいさつに出た。工藤監督も深々と頭を下げ、1年間の応援に応えていたが、笑顔はない。屈辱の3連敗。10月逆襲どころか「大阪の陣」は3戦で計1得点。前日2日から2戦連続0封負けと、完璧な返り討ちで終わってしまった。「また明日」と言っているうちに残り試合はどんどん減っていき、首位オリックスとは8ゲーム差となった。飛び立とうにも、これでは滑走路が短すぎるではないか。

オリックス対ソフトバンク 4回表ソフトバンク1死三塁、柳田は空振りの三振に倒れる(撮影・前岡正明)
オリックス対ソフトバンク 4回表ソフトバンク1死三塁、柳田は空振りの三振に倒れる(撮影・前岡正明)

現実的にはリーグ連覇に赤信号がともっているが、この状態ではAクラス入りすら危ぶまれる状態とも言っていい。5日からは本拠地ペイペイドームに戻って、3差で追う3位楽天との2連戦が待ち受ける。浮上には2連勝が絶対条件となる。いや、もう1つも負けられないのだ。「2021年型」のホークス野球が確立できなかった今、残り試合は積極的に若手を起用してみてはどうか。ジリジリとした緊張感の中でこそ、経験値を高めることができるのではないだろうか。7回、二ゴロに倒れたデスパイネが、巨漢を揺らして一塁へ全力疾走していた。リチャードたちもしっかり目に焼き付けているはずだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】