宮崎は太陽が戻った。ソフトバンクの秋季キャンプ第1クール最終日。アイビースタジアム周辺を彩るコスモスの花が何とも誇らしげだ。

藤本新政権の誕生に合わせるようにして、王球団会長も新たな「特別チームアドバイザー」という役職を兼務して宮崎に乗り込んできた。初日から精力的な動きである。メイン球場では1年目井上を直接指導。バットを片手に連日、選手の動きに熱視線を送り続けている。

井上朋也に打撃のアドバイスをするソフトバンク王貞治球団会長(撮影・梅根麻紀)
井上朋也に打撃のアドバイスをするソフトバンク王貞治球団会長(撮影・梅根麻紀)

「いやあ、疲労困憊(こんぱい)だよ」。サブ球場で投手陣の練習を見守っていた王会長に出くわした。チームは8年ぶりのBクラスに低迷。再建へ向け誰よりも危機感を感じ取っているのは王会長にほかならない。

練習は裏切らないと言われる。だが、鋭い視線でグラウンドを見つめる王会長の脳裏には、若手選手たちがいかに「練習」を「結果」に結びつけられるか-。この秋はこのことに腐心しているようだ。初日の円陣では「コーチを積極的に利用しなさい」と語りかけ、キャンプイン前夜の監督、コーチミーティングではMLB往年の大打者であり「最後の打率4割打者」となったテッド・ウイリアムズの配球チャートを持ち出し、好球必打と制球力の必要性を説いていた。

笑顔で練習を見るソフトバンク王球団会長(撮影・梅根麻紀)
笑顔で練習を見るソフトバンク王球団会長(撮影・梅根麻紀)

「練習はどうぞ打ってくださいっていう球を打ってるんだから。試合になると打たせまいと思って投げてくる。練習で準備をして試合で結果を出す。それを練習の延長でやっている人がほとんど。いい結果を出している人は試合用の打撃、投球をやっているからね」

やり直しがきかない世界である。マウンドでのこの1球、打席でのあの1打…。「チャンスは2度とないからね」。そのために何千回とバットを振って、何千球と投げ込み、質を高めていかなければならない。

「何とか花を咲かせてあげたいんだよね」。王会長はグラウンドに目をやってポツリと言った。【ソフトバンク担当 佐竹英治】