BIGBOSSこと新庄剛志監督(49)が誕生してからというもの、日本ハム担当に心休まる日は、ほとんどない。本人が公の場に登場する日はもちろん、毎日、必死に監督のSNSをチェックしなければいけないからだ。無邪気に「選手全員を1回は(中略)1軍のグランドに立たせる」とか、こちらの興味をかき立てることをつぶやいたかと思えば「地味な努力こそ派手になれる」なんて、人生訓も。最近は、迷い犬探しにも協力し、完全に“犬のお巡りさん”状態。監督業も大変だな~と思いつつ、優しさに、クスッと笑ってしまう。

かつて、こんなにSNSを駆使する監督は、いなかった。SNSで広く考えを発信する手法は、若い選手が多いチームにマッチしているように思う。ルーキーの今川は「BIGBOSSからしたら『直接言わなくても、分かっているよね?』みたいな感じだと思う」と解釈し、「僕らがそれを受け止めて、どう行動していくか」と話す。監督のメッセージを、選手は見逃さない。監督の言葉で、どの選手が、どのように変わるのか。その様子を、ファンもしっかりと見ている。そう、これは“公開指導”なのだ。

11月の秋季キャンプ視察では、選手との接し方について「普通の人間として、話しやすい環境というか、会話を心掛けているんですけど、意外と敬語になってしまう」と話していたBIGBOSSだが、今のところ、距離感については心配無用だろう。会える機会は少なくても、SNSで監督の思いは選手側に伝わっている。あとは受け手が、どうやって成長に生かすか。

監督は、選手のことを「かわいい」と表現する理由を、こう述べている。「僕を見て『うわっ、本物だ』っていう顔のかわいさ。プレーを見ても、僕のレベルが高かったので、そのレベルまでは追い付いていないから、かわいく見える。だんだん『格好いい』になった時、一流選手になっている」。SNSが「格好いい」という表現であふれる時、チームは確実に強くなっている。【日本ハム担当・中島宙恵】