広島の春季キャンプメンバーが20日に発表された。1軍の顔ぶれは昨春から大きく若返った印象がある。そう感じるのは育成選手が3選手も選ばれているからかもしれない。その中でも、2年目の二俣翔一捕手(19)は気になる存在だ。

なぜなら、昨春から評判がすこぶるいい。何度「二俣、いいよ」という声を聞いただろうか。昨季2軍の取材へ行くたびに東出2軍打撃コーチ(現1軍野手総合コーチ)はその大きな可能性に期待していたし、2軍調整を経験した1軍選手や編成担当からも高く評価する声が聞かれた。

しっかりと軸足に重心を乗せ、大きくテークバックをとっても軸がブレずに、自分の「間」で球を引き付け、思い切りバットを振り抜ける。高卒1年目からそう簡単にはできる芸当ではない。打率は2割1分8厘と粗削りな課題は残った。それでも29安打中、10本が長打。4本塁打と長打力は証明した。海を渡る鈴木誠でも、高卒1年目は2軍で2本塁打だったが、4本塁打の相手も、阪神及川、ソフトバンク東浜、中日松葉、オリックス富山と1軍クラスの名前がずらり。希望は膨らむ。

捕手登録ながら「今年から本格的に内野手にいくと言われたので、そこは切り替えてサード1本に絞ってやっていこうかなと思います」と覚悟を決めた。合同自主トレの午後組がいない26日まで、午後の屋内練習場を独り占めするように、打撃マシン相手に打ち込んでいた。

ステップ幅は鈴木誠を参考にして狭め、大きく引いていたテークバックを西川のように小さくした。広島トップクラスの両スラッガーのいいとこ取り。新フォームの手応えも上々だという。「打撃でアピールして、(2次キャンプの)沖縄行きを目指して頑張っていきたい」。2月1日から始まる春季キャンプでは、チームづくりの過程とともに、新たに誕生した右の長距離砲候補にも注目したい。【広島担当=前原淳】