阪神の沖縄・宜野座キャンプに久しぶりに来た。個人的な注目は1軍最年少、19歳の高寺望夢内野手だった。矢野監督も一目置く天才的な打撃は確かに光った。

矢野監督らがノックバットをひたすら振るう「デスノック」の常連でもある。心身の限界が近づくと、たいていの選手は叫んだり、ノッカーをあおったり、強がったりしてキャラクターが垣間見えるもの。しかし高寺は最年少ゆえか、はじけた言動がなく、なかなか見えてこない。そういう選手には逆に興味がわく。

そんな折り、「そばは苦手なんです」という高寺のコメントを目にした。メニュー表に高寺を指して「信州そば」と書かれていたから、報道陣に質問されたらしい。

高寺は「そば県」長野の出身。同じ長野出身の記者にとって「そばが苦手」は聞き流せない。真意のほどを確かめてみた。

「そうなんです。そばはあんまりで…。アレルギーがあるわけではありません。自分は断然、コメですね。自分のまわりにも普通にいますよ」

こちらは沖縄生活でそばが恋しくなり、カップそばをホテルの部屋ですすった。でも自分がそうだからと、決めつけるのはよくない。それも個性だ。

長野出身では昨年、DeNA牧が大活躍。高寺も固定観念をくつがえすようなプレーで郷里の先輩に続いてほしい。【遊軍=柏原誠】

デスノックを終え、久慈内野守備兼バント担当コーチ(右)からご褒美アイスをもらい喜ぶ高寺(左)と遠藤(2022年2月15日撮影)
デスノックを終え、久慈内野守備兼バント担当コーチ(右)からご褒美アイスをもらい喜ぶ高寺(左)と遠藤(2022年2月15日撮影)