阪神ドラフト2位鈴木勇斗投手(22=創価大)が、逆襲へ向けて新任の江草2軍投手コーチと二人三脚で基礎を見直している。3月上旬の2軍鳴尾浜球場。同コーチとバント処理、二塁送球の練習に励んでいる姿があった。ミスするたびにアドバイスをもらい、丁寧に動きの1つ1つを確認していた。

鈴木は「不安要素を取り除く練習」だと説明してくれた。「自分はフィールディングが得意ではないので、1軍に上がれた時に不安なことがないようにやっています」。キャンプは1軍、沖縄・宜野座で1カ月過ごしたが、シート打撃で制球に苦しみベンチで涙を見せる場面もあった。プロ野球選手でなくても、新たな環境では余計な力が入ってしまうもの。「キャンプは正直、気持ちも焦っていました。先輩たちを見て、自分には足りないものが多いなと…。今は落ち着いて周りを見られるようになりました」。目まぐるしい日々が過ぎ、ようやく本来の自分を取り戻しつつある。

何より、同じ左腕の江草コーチの指南を受けられる環境が大きい。同コーチは「バント処理とか、投げるところ以外での自分を助ける技術をもう1回、しっかりやろうと。せっかくこっちに来たので、基礎からやっていこうと」とルーキーと向き合う。フィールディングの練習に取り組むことで「体の使い方が上手になって、それがピッチングにもつながってくるんです」と制球力アップにも期待。「練習をしたら自信はつく。これだけやったら大丈夫だと思えるくらいやろうって言ってますよ」。昨年まで大阪電気通信大硬式野球部のコーチとして、学生に明るく向き合ってきた経験も若い左腕を育成する上で生きてくるはずだ。

12日の教育リーグ中日戦(鳴尾浜)では中継ぎで登板し、1イニングを3者凡退に仕留めた。1軍デビューの日を目指し、1歩ずつステップを踏んでいく。【阪神担当=中野椋】