<ソフトバンク3-1楽天>◇18日◇ペイペイドーム

古典落語にある「まんじゅう怖い」という話を思い出していた。ソフトバンク藤本監督がホームラン打者ではない選手が本塁打を打って、大振りから打撃不振に陥ってしまうさまを「毒まんじゅう」と表現してきたので「まんじゅう」が頭から離れなかったからだ。

この日の試合前もそんな話が出ていた。前日17日は今季チーム最多の5本塁打を放って楽天との首位攻防3連戦の初戦を取った。交流戦では不発だった柳田に1発が出て、グラシアルが2打席連発。牧原大、中村晃にも1発が飛び出し、あらためてホームランの破壊力を味わった。とはいえ、ベンチワークとしては「1発攻勢」はプレゼントのようなもの。「泥臭くつないでいきますよ」と引き締め直していたら、2戦目も柳田の先制弾、そして延長10回に途中出場の周東が劇的なサヨナラ弾を放った。

ソフトバンク対楽天 延長10回裏、右越えにサヨナラ2点本塁打を放ち、歓喜の輪に飛び込む周東(右奥)(撮影・岩下翔太)
ソフトバンク対楽天 延長10回裏、右越えにサヨナラ2点本塁打を放ち、歓喜の輪に飛び込む周東(右奥)(撮影・岩下翔太)

落語は主人公が仲間と「怖いもの話」になって「まんじゅう」と言う。仲間は面白がって、主人公にまんじゅうをたくさん持ってきて怖がらせようとするのだが、本当は大好物。主人公に一杯食わされる…という話だ。伏兵周東の一撃で思わぬ? 決着となったホークスは首位奪回。昨年は交流戦後に首位に立ったことはなく、最終4位に甘んじた。V奪回を目標に掲げる藤本ホークスにとっては何より大きな白星となったわけだ。ただ、試合後の藤本監督は劇的勝利にも浮かれた様子はなく、一戦必勝をしっかりと誓っていた。

ソフトバンク対楽天 延長10回にサヨナラ本塁打を放った周東はハリーホークと笑顔でガッツポーズ(撮影・岩下翔太)
ソフトバンク対楽天 延長10回にサヨナラ本塁打を放った周東はハリーホークと笑顔でガッツポーズ(撮影・岩下翔太)

落語のオチを話すのはヤボかもしれないが、満腹となった主人公は再び怖いものを聞かれて「お茶怖い」と言う。もちろん、藤本監督は「首位怖い」とは言わないが、思いもよらぬ周東の1発。ヒーローには申し訳ないが、昨季は開幕戦でホームランを放ちながら打撃が急降下しただけに、くれぐれも「毒まんじゅう」にはご注意を!【ソフトバンク担当 佐竹英治】