<ソフトバンク7-0楽天>◇21日◇ペイペイドーム

マスク越しに見るソフトバンク藤本監督の顔は、納得の表情のようだった。エース千賀が8回0封の好投を見せれば、打線も着実に加点し7-0の完勝。前夜(20日)は準本拠地でもある北九州で17失点の大敗を喫したのがウソのような快勝だった。監督就任初めて会見を拒否し、広報にコメントを託した大敗後とは対照的にBIGFACEは雄弁であった。

チームを襲う故障禍にコロナ禍…。厳しいチーム状況でも試合はやって来る。球宴後の首位ターンを目指すチームにとっては大きな白星になったことは間違いないが、コマの欠ける現状を凶とするのか、吉とするのか。これもまた考え方ひとつ。主力が姿を消し、リチャード、野村大、野村勇、増田ら若手選手を叱咤(しった)するように、ベンチも吉兆を呼ぶさい配を目指さなければならない。

リードオフマンの周東が脇腹痛で先発メンバーから外れたが、打線はしっかりと「粘り」を見せた。「野球は2死から」とよく言われるが、先手を取った2回の甲斐の適時二塁打、5回の柳田の2点三塁打は2死から放ったもの。6回には2死一、二塁から甲斐が2番手西垣に2球で追い込まれたが、しぶとく四球を選ぶと、続く1番柳町が押し出し四球で4点目を挙げた。さらに7回にも2死から連続四球で一、二塁とし高田の左翼越え三塁打でダメ押しとも言える2点を追加した。7得点中6点が2死から奪ったものだった。

「いやあ、甲斐がよくつないだし、柳田もうまく打ったよね。あの柳田の一打は技ありの一打だったよね」。試合を見守った王球団会長にも納得のゲーム運びだったようで、笑顔で得点シーンを振り返っていた。Bクラスに転落した昨年は、勝率5割で球宴を迎えた。首位ターンに向け、残りはオリックス3連戦。敵地・大阪でも「しぶとい粘り」の野球を見せてもらいたいものだ。【ソフトバンク担当 佐竹英治】