劣勢をはね返すのは「守る」ではなく、「攻める」ことなんだと感じた。それも攻撃時ではなく、守備時の「攻めの姿勢」だ。7連敗で迎えた6日の阪神戦(マツダスタジアム)。2-5で、試合は終盤8回を迎えていた。1死二、三塁で近本の打球は鋭く投手右を跳ねた。抜ければ2点、止めても1点。そう思われた瞬間、素早く反応して捕球した二塁手菊池涼介内野手(32)は迷わず捕手がタッチしやすい球を本塁に送った。追加点を阻止。その後の2死満塁を中崎がしのぎ、9回に3点差をひっくり返してサヨナラ勝利した。

ひとつのアウトも取れなければ大量失点を招いていたかもしれない。「今年は特に集中力を切らさないようにと思ってやっている」。涼しい表情で振り返るが流れを変えたプレーだった。

菊池涼を含め、会沢、秋山と経験者がそろうセンターラインが広島の強みのひとつといえる。新加入秋山はすでに広島外野陣のリーダーだ。加入間もない劣勢の試合終盤、中堅から自身と両翼のポジションを前進させたことがある。意図は、試合後であっても伝える。「点差はあっても流れを変えるためにできることはやらないといけない。守りなんだけど、攻めないと」。その日、外野陣の攻撃的なポジショニングが勝利を呼び込むことはなかった。ただ、流れは待つのではなく、持ってくるものだと勝つことを知る者は知っている。

攻撃時に攻めるは当たり前。いかに守りでも攻められるか-。11日現在、広島は3連勝してもまだ5位。劣勢をはね返すためにも、攻めの姿勢は貫かなければいけない。【広島担当 前原淳】