西武の球団職員・高木大成氏。95年ドラフト1位で捕手として西武に入団した。

清原以来10年ぶりに単独での入団会見が行われ、2年目から一塁コンバート。ゴールデングラブ賞を2年連続受賞するなど華のある選手だった一方で、ケガとの闘いもあった。10年間のプロ野球人生を終えた後も、西武で球団職員の道を選び9度の異動を経験した激動の人生を歩んでいる。

そんな高木氏の「今」は、放映権と肖像権を扱うライツビジネスを任されている「事業部部長」。球団で自前の中継映像を制作する一方で、元プロ野球選手として、仕事の幅はそこだけにとどまらない。ときには解説者としてプロ野球中継に登場する。含蓄のある解説は評判が高く、SNSでもファンの話題に上がるほど。「球団映像をつくらせていただいてますけど、そのときの解説の方と実況の方の考え方など、自分でやってみて大変さ、難しさを理解できるようになりました」。

今、BSやCS放送では、副音声でビジター寄りの解説が浸透してきている。ホームのファンだけではなく、対戦チームのファンにも楽しんでもらうためで、ネット放送が増えて多岐にわたる試聴方法の中で、特色を出す方法が図られている。そんな背景もあって、球団職員として“裏方”だけでなく“演者”の両面をこなせる人材として、スポット的に白羽の矢が立つ。25日のロッテ-西武22回戦(ZOZOマリン)で、BS放送での中継に副音声で解説者として登場する予定だ。

プロ野球選手として第一線を走り、引退後は球団職員としてビジネスマンの道を選び歩んできた異色の経歴。そんなキャリアに「プロ野球の仕事って実はこんなに面白いと感じてもらい、選手のセカンドキャリアももちろん、プロ野球やスポーツ事業に興味をもってくれる人が増えたらいいなと思います。私は選手出身なので、選手のセカンドキャリアというところは、もう少し広がりが出てくるといいなと感じてます」。先駆者として使命感を胸に秘めながらひた走っている。【遊軍 栗田成芳】