サブマリン右腕の西武与座海人投手(27)が侍ジャパンに初選出された。11月の強化試合の代表となった。

昨季まで通算3勝。18年にはトミー・ジョン手術も経験した。アマ時代も含め、華やかな野球人生とは言えない。それが今季は10勝(7敗)の防御率2・88と大きく5年目で飛躍を遂げた。

なぜ成績が向上したのか。昨季より球速が上がった。膝下から浮き上がる独特の軌道。他の投手には生み出せない個性は、ボールが速くなることで、より大きな武器として磨かれた。「安定して球速を出せるようにしたい」とキャンプから鏡の前で何度も入念にフォーム固めをする姿があった。

110キロ台だったスライダーは120キロ台にアップ。120キロ台後半が多かったストレートは130キロに乗る割合が増えた。力で押し込めるようになり、高めを効果的に使えるようになった。投球の幅が増した。

ツーシームにも幅がある。同じような腕の振りから器用に縦の変化、横の変化を操る。打者を見ながら、幻惑するように最適なボールを選択する。

シーズン前は「(侍入りは)想像はできないですけど、この世界にいる以上はそういうのにも選ばれてみたい」と語っていた。強化試合とはいえ、ジャパンのユニホームに袖を通す。その言葉を本当に実現させた与座は言った。

「自分の特徴でもある、他のピッチャーとは違う球の軌道だったり、打者のタイミングを外す投球術など、持ち味を出し切りたい」。

沖縄尚学2年時に「試合に出られるチャンスはほぼなかった」とサイドに腕を下げ、岐阜経大時に制球を安定させるため、さらにリリースを下げた。必死で模索してたどり着いた形だ。今や極めて珍しくなったアンダースロー。その個性を最大限に生かし、もっともっと飛躍を遂げていく。【西武担当 上田悠太】

「侍ジャパンシリーズ2022」出場選手発表記者会見で、西武与座の名前を読み上げる侍ジャパンの栗山監督(2022年10月4日撮影)
「侍ジャパンシリーズ2022」出場選手発表記者会見で、西武与座の名前を読み上げる侍ジャパンの栗山監督(2022年10月4日撮影)