ラオウの執念を見た。オリックスが96年以来26年ぶり日本一に輝いた10月30日の夜、オリックス杉本裕太郎外野手(31)が、日本シリーズMVPを獲得した。

「うぉぉぉ!新しいテレビが買える!」

ラオウ杉本らしい喜びの声だった。日本シリーズは地上波で全国テレビ放送-。活躍が日本中に響く一戦で、オリックスのラオウ杉本が絶対に打たないといけない理由があった。

「家のテレビが壊れて…。10年ぐらい前に奮発して、そこそこ大きいサイズを買ったんですけど、ここ1カ月前ぐらいに…」

短期決戦に集中するタイミングだったため“新品”の購入は控えた。シーズン中は打撃面で苦しんだ昨季本塁打王は大逆転連覇を決めた10月2日、仙台の夜に「CS、日本シリーズで活躍して、楽しくシーズンオフを迎える!」と宣言していた。

その心意気で10月中旬、CSファイナル(京セラドーム大阪)でのソフトバンク戦は好調をキープ。1、2戦目で勝利打点を挙げ、MVP候補にも名前を連ねていた。だが、第4戦で、青学時代からの後輩・吉田正にMVPをかっさらわれ、表彰式でズッコケた。

「正尚に、まくられたのは悔しいなぁ…。日本シリーズこそ!」

有言実行の日本シリーズMVPに輝き、自身のインスタグラムにも「#テレビ買える」と書き込んだ。主役を張っても、かわいらしい一面を見せるラオウ杉本。来季も「昇天連発」を期待したい。【オリックス担当 真柴健】