現役ドラフトでソフトバンクから阪神に加わった大竹耕太郎投手(27)には、少々高めのハードルを越えてほしい。キャンプの実戦で好投を続け、ローテーション入りの期待もかかる。阪神に国内移籍した左腕投手が1年目に10勝すれば、03年下柳剛以来2人目となる。

下柳は02年オフに、日本ハムから交換トレードで阪神に加わった。就任1年目4位に終わった星野仙一監督は、チームの大改造に着手。その一環として、中日監督時代から高く評価していたタフな左腕を手に入れた。

下柳は03年に10勝を挙げて、阪神優勝の一員となった。05年には15勝で最多勝。阪神在籍80勝は、国内移籍投手中の最多である。2桁勝利も5度を数えた。卓越した理論は、井川慶ら若手にも大きな影響を与えたという。

ほかに国内他球団から阪神に移り、移籍2年目以降に2桁勝利を挙げた左腕は2人いる。1リーグ時代46年の呉昌征(前巨人)14勝と、69年権藤正利(前大洋)10勝。もっとも2桁勝利はそれぞれ1度しかないため、下柳の奮闘は際立っている。

阪神への移籍投手に関しては、右投手に成功例が多い。巨人から79年に加わった小林繁が同年に挙げた22勝は、移籍投手による球団シーズン最多である。在籍77勝は下柳に次ぎ国内移籍2位だ。また南海(現ソフトバンク)からの江本孟紀も在籍中61勝と、安定して力を発揮した。

近年では19年オリックスから移籍の西勇輝がいる。4シーズンで計36勝と、先発の柱である。

大竹は17年の育成ドラフト4位でソフトバンクに入団した。1年目の18年シーズン中に支配下へ昇格すると、19年には開幕ローテーションに入った。同年5勝と実績も積んだ。きっかけをつかめば、2桁勝利もあるかもしれない。

ソフトバンクで87勝を挙げメッツへ移籍した千賀滉大投手(30)は10年育成ドラフト4位である。20年最多勝の石川柊太投手(31)は13年の育成1位。さらにはリーグを代表する捕手となった10年育成6位の甲斐拓也捕手(30)など、ソフトバンクの育成入団選手は大成するという伝統がある。

育成ドラフトが導入される前にプロ入りした下柳も、振り出しはソフトバンクの前身ダイエーだった。大竹にはホークスの先輩たちに続き、阪神での大化けを果たしてほしい。10勝というハードルは高いが、春の勢いを維持して挑んでほしい。

【記録室 高野勲】(22年3月テレビ東京系「なんでもクイズスタジアム プロ野球王決定戦」準優勝)