15日のDeNA投手練習で初めてトレバー・バウアー投手(32)の実物を見た。がっちり体形というより、むしろ細い。通常、翌日の先発投手だと1時間とか1時間半とか、それくらい動いてから取材を受ける流れが多い。バウアーがグラウンドにいたのはわずか30分。「早っ。終わり?」と報道陣から声が漏れた。

外野の壁当てでは右手で投げて左手でキャッチ、を数分。ボールを持ち替えると今度は左で投げ、素手の左手でキャッチ、を数分。テンポがいい。簡単そうにやっているが絶対難しい。左肩の可動域は右ほどではないが、見ていて何の違和感もなかった。

高城ブルペン捕手と強めのキャッチボールをしたら、外での調整はほぼ終了。以前、浜口が「彼は自分を知ることをすごく大事にしている。それが入念な準備、結果につながっていると思う」と話していた。まさに、自分に必要なことを必要なだけしている感じだった。

囲み取材ではYouTube用と思われるカメラをセット。囲まれている自身ではなく、囲んでいる記者側にレンズを向けた。これはメジャーでプレーして帰ってきた日本選手や監督にも共通していることだが、どの質問にも端的に丁寧に答える。1つの問いに対し、ひと言で終わらせることもないし、聞かれた以上のことを長々と話すこともなかった。

約2時間半後、タクシーで帰途に就いた。半日しか見ていないが、無駄をそいだ人だなという印象だ。背中のリュックからはカメラの三脚がぴょこっとはみ出していた。日本に来て初めての休日を東京観光して過ごしたと言っていたから、もしかしたらその様子もYouTubeに上がるのだろうか。投球結果だけでなく、そちらも楽しみにしたい。【遊軍 鎌田良美】

自身のカメラをセットし、練習後の取材に臨むDeNAバウアー(2023年5月15日撮影)
自身のカメラをセットし、練習後の取材に臨むDeNAバウアー(2023年5月15日撮影)