楽天吉野創士外野手(19)が、黙々と汗を流している。21年ドラフト1位で入団し、今春のキャンプは1軍で過ごした。オープン戦にも10試合に出場。しかし、3月15日オリックス戦(静岡)で先発出場をしたのを最後に、ファームへと合流した。今季の2軍戦の出場はなし。吉野は「ケガとかじゃ全くなくて」と説明する。

2軍合流する直前、石井監督から呼ばれた。指示されたのは、体を徹底的に作ること。186センチ、78キロとまだ細身。力感のないスイングから鋭い打球を広角に放ち、打撃センスを買われてのドラフト1位指名だが、力強さが物足りないと指摘された。3、4年目で台頭できるように-。今は実戦よりも、あえてトレーニングに重点を置いている。

焦りや不安はあった。昨季は2軍戦で48試合に出場し、打率1割9分7厘、1本塁打、8打点と満足する数字ではなかった。オフ期間は巨人坂本に教えを請い、ともに自主トレに励んだ。巻き返しに意気込む中での、指示された体作り。「石井監督も狙いがあっての期間。期待に応えたいです」と、試合に出たい気持ちを抑え、ウエートトレーニングに明け暮れている。

効果は早くも出始めている。筋肉量が増え、打球の強さやノビが変わった。シート打撃でも手応え。「1年目やキャンプのときと比べたら、結構力強さが出てきた。いい感じです」と笑顔を見せる。将来の中軸が期待される東北のホープ。先を見据え、じっくりと1歩ずつ確実に、成長を続けていく。【楽天担当 湯本勝大】