阪神青柳晃洋投手(29)にとって、復活のための大事なマウンドだった。

7月11日DeNA戦。4年ぶりの岡山・倉敷での試合で、マウンドにはスタメンキッズに選ばれた子どもが待っていた。「すごく緊張している子でした。こちらから『ボール、はい、どうぞ』と話して、最後に『頑張ってください』と言われたので、『ありがとう。じゃ、頑張るわ』と」と限られた時間で青柳の方から話しかけた。

開幕投手で2年連続2桁右腕も今季はその試合前までわずか2勝。1カ月半ぶりの1軍マウンドで、課題の立ち上がりを抑え、長いイニングを投げて信頼を取り戻したい。そんな緊張の瞬間だったはずだ。「あの時、僕ももちろん緊張してます。でも、子どもの前ではかっこよくいたいので、余裕を持って話しましたね」と、笑った。復帰戦は7回2失点と好投。毎試合あるわけではないスタメンキッズ。ちびっ子とのほんの数秒の会話も、プラスに働いたのかもしれない。

15日からの甲子園での中日3連戦は「夏のこども祭り」として開催され、3日ともスタメンキッズが行われた。15日先発の才木は「あれで何かこう、野球ボールもらって、少しでも興味持ってもらえるとうれしいですし。まだ小さいので、鮮明には覚えてないかもしれませんが、甲子園の中に来たことが、何か印象に残ってもらえれば、僕はうれしい。大事な機会だと思ってやっています」と話す。189センチの長身をかがめ、丁寧にボールを渡していた。

捕手の坂本は膝をついて子どもの目線で話していた。「『野球やってる? 』って聞いて、やっている時には『いつか一緒にやれたらいいね』とか言ってますね」と明かす。「僕らにとっては何回もあることかもしれないけど、その子どもたちにとっては1回しかないことだったりするので。そういう時間、空間は大切にしたい。そこはできるだけ、同じ目線で話してあげたい。野球やりたいという子たちや野球を身近に感じてくれればうれしいし、そこに僕らの緊張とかは関係ない」と、話してくれた。

阪神だけでなく12球団どこの選手も、子どもたちに笑顔で優しく接するスタメンキッズの時間が好きだ。たった十数秒かもしれないが、プロ野球選手として最高にかっこいい。倉敷ではブルペン陣がサブグラウンド近くで見学していた子どもにボールをあげていた。ファンサービスする時間や機会は限られているかもしれないが、今年の夏休みもたくさんの子どもたちに、プロ野球の、野球の楽しさを伝えてほしい。【石橋隆雄】