<日本ハム6-11ソフトバンク>◇5日◇エスコンフィールド

ソフトバンクが中盤に計9得点の猛攻で日本ハムに逆転勝ち。久々の打線爆発で「8月反攻」の起点としたい白星となった。

チーム今季最多の19安打を放った打線のヒーローは勝ち越しの15号2ランを含む5打点を挙げた近藤だが、投の殊勲者は2番手でマウンドに上がった又吉だ。打線が1点差まで詰め寄った5回から登板。主軸の万波、マルティネス、野村をきっちり3人で片付け、続く6回も続投。今川に中前打を許したものの、2回22球、無失点でバトンをつないだ。先発大関が4回まで3本塁打など6失点。勢いに乗っていた日本ハム打線の流れを完全に断ち切る好救援だった。「自分がやれることをしっかりやるだけ。打たれたら次に投げる場所はないと思っているので。そこだけに集中して投げることができた。勝ちは野手のおかげなので」。回またぎの登板は昨年4月12日のロッテ戦(長崎)以来、1年4カ月ぶり。ウイニングボールを手にしたのも昨年7月2日の西武戦(ベルーナドーム)以来、約1年ぶり。今季初白星にもベテラン右腕は淡々と登板を振り返った。

強烈な危機感が又吉を突き動かしている。中日からFA移籍した昨年は7月に右足を負傷し途中離脱。復活をかけた今季は不調で開幕から1カ月もたたない4月中旬に登録抹消。約3カ月のファーム生活を経て戦列復帰した。この日も真っ先にコメントしたのは「打たれたら次はない」という背水の気概。「7回の男」として送り出されていた昨シーズンも言い続けてきたフレーズだ。

チームは連敗を3で止め、8月初勝利。逆襲へ向けた心棒には又吉が持つ「危機感」を共有すべきかもしれない。投手、野手、首脳陣を含め、自らをとことん追い込む背水の気持ちがなければ、再浮上はおぼつかない。【佐竹英治】