若手選手たちのキャリアにもさまざまな形があり、しっかり成長しているなと実感します。

DeNA担当だった20年に取材した阪口皓亮投手(24)が今年7月末、ヤクルトにトレードで加入。一方で当時は育成だった宮城滝太投手(23)は22年7月に支配下契約を勝ち取り、今年8月13日巨人戦(東京ドーム)でプロ初登板を果たしました。

大阪出身の阪口は北海高から17年ドラフト3位でDeNA入団。19年にプロ初登板を果たし、20年はプロ初白星を目指していた段階。女手ひとつで育ててくれた母京子さんに感謝していて、「一番、恩返ししなくてはいけない人。僕がロールキャベツを好きなので、毎年(実家に)帰った初日に作ってくれて。それが毎年続いているのが小さなことですが思い出です」などと話してくれました。

20年は初白星に届きませんでしたが、翌21年4月4日広島戦(横浜)でプロ1勝目をマーク。就任1年目の三浦大輔監督に初白星をもたらしました。

188センチの長身で、当時はややスリムな印象でしたが、今や体もたくましくなっていました。7月28日のヤクルト入団会見時に「不安よりもワクワクの方が大きい。(DeNAに)恩があっても試合はまた別物。(対戦すれば)思い切って抑えにいくのがプロ野球選手だと思うので、しっかり抑えたい」と力強く語る姿にも成長を感じました。

阪口はここまで6試合にすべて中継ぎで登板し、0勝1敗1ホールド、防御率5・14の成績を残しています(26日現在)。

一方で滋賀学園高から18年育成1位入団の宮城とは、20年のDeNA担当時、じっくり取材する機会はほとんどありませんでした。しかし東京ドームでの初登板の姿からは、しっかりと鍛え上げてきたであろう力強さを感じました。

1-6の5回から3番手でマウンドへ。坂本、岡本和、丸ら主力を相手に、最速152キロの直球をテンポよく投げ込み、2回を1安打3奪三振無失点に抑えました。

登板後の囲み取材では「名前のある選手ばかりですけど、同じ野球選手なんで。そこにビビったら上には上がれないと思う。多分、向こうは僕のこと何も知らないと思うんで“食ってやるぞ”くらいの気持ちでマウンドに上がった。そこが良かった要因でもあるかなと思います」とキッパリ。20年当時はまだあどけなさも残る、おとなしい青年という印象でしたが、キャリアを重ね、精神的にもたくましくなったのだろうと納得しました。

宮城はここまで4試合にリリーフ登板し、6回を投げ0勝0敗0ホールド、防御率1・50の成績を残しています(26日現在)。

球団を変え、あるいは立場を変え、それぞれ新しいステージに踏み出した2人。今後の頑張りにも注目していきたいと思います。【遊軍 鈴木正章】

8月13日、巨人岡本和(右)から空振り三振を奪ったDeNA宮城
8月13日、巨人岡本和(右)から空振り三振を奪ったDeNA宮城