受け継がれる系譜がある。巨人菅野智之投手(34)は言う。
「ずっと僕は背中を追い続けた人なので。今でもやっぱり内海さんはこういう風にやってたなと思い出す時もある」
2013年の入団時。エースの看板を背負っていたのが内海コーチだった。その大きな背中、生きざまを見て、後を追った。東京ドームで使用するロッカーには、自らのネームプレートとともに「UTSUMI」のプレートも隣に並ぶ。内海コーチが現役時代の18年オフに西武移籍時に置いたもの。今、使っているロッカーの位置は、もともと内海コーチが使っていた場所でもある。
菅野はできる限り、同じモチベーション、感情に左右されない状態で練習し、振る舞うことを心がける。文字にすると、何てことはないが、それを実際にやり続けることは難しい。「ノックアウトされた次の日でも、一番にグラウンドに来て走っている内海さんの姿を僕はずっと見てきている。どんな時も、あの変わらない姿。ピッチャーにとって、それがどれだけ難しいことかっていうのはよく分かるので。やっぱりすごいです」と言う。
最高のお手本にしながらも、完全コピーするわけではない。「やっぱり自分の形にしていかないといけない。同じことをまったく一緒にやっても、その人にはなれない」。背中を追う中で、強い意志を宿し、自らのスタイルを確立してきた。
「経験してきたものをちょっとでも伝えていく」ことも使命と捉える。普段から周囲に技術、経験、思考を惜しみなく伝える姿がある。常勝を求められる中で、エースにたどり着いた者にしか分からない境地。その伝承の1つ1つが次なる世代にとって、この上ない道しるべになる。【巨人担当 上田悠太】




