まさに流れを阻まれた、スーパープレーだった。

29日、巨人との開幕戦での3回1死一、二塁。阪神森下翔太外野手(23)の打球は右中間にライナーで飛んだ。先制かと思われた安打性の打球だったが、これを右翼梶谷がダイビングキャッチ。一塁走者中野は慌てて戻ったが、二塁手吉川から一塁につながれ、併殺プレーとなった。わきあがった虎党の歓声は、一瞬にして巨人ファンの歓声にかき消されてしまった。

筒井壮外野守備走塁コーチ(49)に同プレーについて尋ねると、連携で完成させた併殺だということがよく分かった。「梶谷もだけど、吉川もうまい。あれを何のちゅうちょもなくファーストに放ってきている。その連携は素晴らしかった」。開幕戦ということもあり、東京ドームは超満員。味方の声もかき消されていただろう。相手の判断力に称賛を送りつつ、自軍の反省点も語った。

「打球判断の位置が2歩ぐらい大きかったな、という部分は反省しています」

捕球時の走者中野の位置は、二塁ベースをオーバーランして、2、3歩回った地点。打球が落ちた場合、一気に2者生還が可能な位置取りだった。筒井コーチは「前向きなプレーだけど、その中でどの辺まで行けるかという部分で。少しその気持ちが強すぎて、行きすぎていたというのは反省しています」と分析。攻めた結果、「2歩の誤差」につながってしまったのだという。

ビッグプレーを見て、ちょうど1年前のシーンを思い出した。昨年3月31日、DeNAとの開幕戦。決めたのは阪神側だった。4点リードの7回1死走者なし。途中出場から右翼に入った現中日・板山祐太郎外野手(29)が大飛球に対し、背走しながらフェンス際でダイビングキャッチ。リードがあったとはいえ、その後に相手は2点を追加。もしもボールをこぼして得点につながることがあれば、勝敗にも影響していたかもしれない。まさに流れを渡さない好守となった。

以前、筒井コーチは「外野手のエラーというのは勝敗に関わってくるわけだから」と語っていた。エラーではないものの、外野手のプレーが2年連続、開幕戦の流れを生んだ。言葉の意味を実感した、今シーズン初戦となった。【阪神担当=波部俊之介】

3月29日 阪神森下の飛球を好捕し内野へ返球する巨人梶谷
3月29日 阪神森下の飛球を好捕し内野へ返球する巨人梶谷