絆を感じる一瞬だった。4月29日の中日-阪神戦(バンテリンドーム)。阪神湯浅京己投手(25)が国指定難病「胸椎黄色靱帯(じんたい)骨化症」から復活し、レギュラーシーズン684日ぶりのマウンドに立った。
7回の1イニングを1安打無失点に抑え、笑顔でマウンドを降りる湯浅。隣には女房役の梅野隆太郎捕手(33)。ベンチへ近づくと、梅野は右手をすっと差し出し、笑顔の湯浅と握手した。
ハイタッチやグラブタッチはあっても、握手は珍しい。梅野にとって「つい」出た行動だった。
「ケガをした後もご飯に行ったりしていたし、その時を知っているから。みんなで1軍の舞台を目指してやっていて。だから余計にうれしくて」
23年には一緒に自主トレを行った仲。直後に侍ジャパンでWBC世界一に輝いた活躍、そこから同年7月に左脇腹筋挫傷で長期離脱を余儀なくされた姿も知っている。
梅野もその約1カ月後、8月に死球を受けて左尺骨を骨折し戦線離脱。ともに1軍の舞台を目指し、リハビリに励む時間を過ごした。同シーズン中の復帰はかなわなかったが、日本シリーズ第6戦、第7戦でベンチ入り。湯浅も日本シリーズ第4戦で約4カ月ぶりに復帰登板を果たしており、ともに歓喜の瞬間も味わった。
その後、再び難病と戦う湯浅の姿を陰ながら応援してきた。右腕が復帰登板を終えた試合後、梅野は言った。「特別なものは自分もあった。これから戦っていく上で大事な仲間。今日を機会にまたしっかり抑えていけるように、バッテリーとしてやっていきたいと思います」。ともに活躍し、2年前のように喜び合う瞬間を目指す。【阪神担当=磯綾乃】




