花巻東(岩手)の水谷公省外野手(3年)が、父の横浜隼人(神奈川)水谷哲也監督(55)へ“返信”で感謝と決意を告げた。甲子園で対決する夢はコロナ禍により消えたが「佐々木(洋)監督、地元の人や仲間から相手を思う大切さを学ばせていただいた。そして、離れていても家族の支えがあったからこそ、つらいことも乗り越えられた」。小学生当時に菊池雄星を擁して甲子園準優勝した同校に憧れ、神奈川から越境した挑戦には「本当に来て良かった」と胸を張った。

花巻東・水谷公省外野手
花巻東・水谷公省外野手

今年3月、父から荷物が届いた。開けると、1通の手紙。「1日は一生の縮図なり」の言葉が記されていた。野球日誌の表紙にも太マジックで書き込み、貴重な時間を全力で駆け抜けた。5月20日、夏の甲子園中止決定。夜に父からの電話が鳴った。「ピンチこそチャンス。目標を立てて、どう向かっていくかが大事」。泣いている場合じゃない。涙を拭ってバットを振った。独自大会は4番として130メートル特大弾などで存在感を示した。準決勝敗退の夜は、父に結果報告。「野球人生は長い。次のステージに向かって、今は休む時じゃないよ」と背中を押してもらった。

次の目標は、もう1つの父との夢、プロ野球選手。大学進学を決断し「打撃だけでなく走攻守そろった選手になります」。お父さん見ててくれ。【鎌田直秀】(この項終わり)

花巻東・水谷公省から父親への手紙
花巻東・水谷公省から父親への手紙