田村藤夫氏(62)の新人合同自主トレーニング取材最終回は日本ハム。あいにく室内練習場は入れず、トレーニングを見ることができたのは一部だった。

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今年の新人は高卒ルーキーの存在が際立つ。中でも投手の育成に注目が集まることになりそうだ。ドラフト1位達孝太投手(17=天理)、5位畔柳亨丞投手(18=中京大中京)、7位松浦慶斗投手(18=大阪桐蔭)は、いずれも昨年のセンバツ、甲子園大会でチェックしていた。

達は練習の合間にストレッチを取り入れるなど、自分のリズムで調整を進めている。松浦はノースロー。この中では畔柳がキャッチボールでは力強いボールを投げていた。

この段階で高卒投手の現状を比較しても意味はない。これからそれぞれのペースでじっくり体をつくっていけばいいと感じる。以前から、高卒投手に1年目から期待をかけすぎると、故障につながるという声はあったが、ヤクルト奥川、ロッテ佐々木朗の2年目の飛躍により、これまで以上に各球団でも落ち着いた雰囲気で高卒ルーキーは育成できるようになったのではないか。

今年、高卒投手としては、評価の高い素材を獲得した。ここからの育成は、球団としての総合力が問われる。日本ハムはこれまでダルビッシュ、大谷という超高校級を確実に育て上げてきた。一方で、話題を集めた吉田は、まだ本領を発揮できていない。

これだけの素材を集めたのは、投手陣においては数年先を見越した補強ということで球団の方針が定まっていたということ。この3投手を含めた投手の育成に期待したい。

2位指名の有薗直輝内野手(18=千葉学芸)は、サイズがありトレーニングに耐えうる体の強さを感じる。この日はショートでノックを受けていたが、不慣れなためか足の運び、打球への入り方で戸惑う場面があった。サードで鍛えていくことになると思うが、スローイングは安定しており、よく腕も振れていた。

あいにく室内のバッティングは見られなかったが、金子野手総合コーチ兼打撃コーチの話では、巨人岡本和をほうふつとさせるスイングをしていたと聞いた。となると、外でのフリー打撃などをますます早く見てみたくなってきた。

首脳陣が一新され、華やかなムードが漂うが、こと、高卒ルーキーに関してはひたすら地道な体力づくりと、基本動作の反復練習ということになるだろう。地味な練習だが、最初に下地をしっかりつくっておけば、先々故障しにくくなる。

新生日本ハムはまず、結果に左右される1軍が注目されるだろう。私は将来有望なルーキーたちをどこまで鍛えられるのかを含め、継続して見ていきたい。(日刊スポーツ評論家)