いよいよキャンプ視察が始まったが、初日は巨人キャンプに訪れた。昨年は後半戦に大失速して優勝を逃したが、毎年優勝争いに加わる“老舗”。やはりセ・リーグのペナントレースのカギを握るチームだけに、しっかりと視察させてもらった。

昨年と同様で、主力選手がS班。メインのサンマリンスタジアムは、岡本和を筆頭にした期待の若手たちだけの練習だった。ベテラン選手に調整を任せるのは大賛成。しかしベテランの主力選手の数が多く、1軍で活躍している若手の数が少ないチーム事情がある。同じフィールドで動く選手のほとんどが実績の乏しい若手だけなので、実力を判断するのが難しかった。

実戦形式の練習では、堀田がフリー打撃に登板。2軍でもドラフト3位の赤星がフリー打撃に登板し、2位の山田がシート打撃に登板した。山田は登板に間に合わずに動画でのチェックになってしまったが、3人とも好素材なのは間違いない。堀田と山田は真っすぐの質がいいし、赤星はストライクゾーンを大きく使った投球ができそう。ただ、堀田にはばらつきがあるし、山田は変化球の制球が課題。赤星はスライダーを投げるときに肘が下がる癖があるように見えた。あくまでも現時点では短いイニングならいいが、先発できるようなレベルには達していないように思えた。

打撃投手に入る巨人堀田(撮影・河田真司)
打撃投手に入る巨人堀田(撮影・河田真司)
シート打撃で投手を務めた巨人山田(撮影・たえ見朱実)
シート打撃で投手を務めた巨人山田(撮影・たえ見朱実)

それより個人的に気になったのが、S班にいる坂本。昨オフ、YouTubeで「坂本は足を使って守れなくなっているのでは…」といった趣旨を話した。数日後、坂本から「自分でも考えてみたんですが、どうすればいいか分かりませんでした」と電話があった。言葉だけで説明するのは難しいが、軸足に体重が乗る前に送球するから力が伝わっていないという話をさせてもらった。本人は納得したようだった。

ウオームアップで笑顔を見せる巨人坂本(撮影・たえ見朱実)
ウオームアップで笑顔を見せる巨人坂本(撮影・たえ見朱実)

今年はキャプテンも志願して続投。向上心も衰えていないし、主軸としての自覚もある。木の花ドームでフリー打撃をしていた坂本の様子も見てきたが、ちょっと見ただけでも「さすがだな」と思えるようなスイングをしていた。チームが苦しいときこそ坂本がしっかりとしたプレーを見せ、結束力を高めていけば昨年のような大失速はしないだろう。(日刊スポーツ評論家)