里崎智也氏(46=日刊スポーツ評論家)と、アシスタントの袴田彩会アナウンサー(32)が出演するYouTube「里崎チャンネル」と本紙が、初のコラボ企画を展開する。テーマは新機軸「NBO」の旗揚げ。N=日本、B=ベースボール、O=おせっ会。発足の理念は「日本球界のための苦言、提言、助言、改革案からなる、つまりおせっ会=おせっかいです」(里崎氏)。NBO設立の詳細は「里崎チャンネル」に任せ、本紙は提言1号を掘り下げます。

日刊スポーツと「里崎チャンネル」が初コラボで大型企画を立ち上げ、里崎智也氏と袴田彩会さんはがっちり握手ポーズ(撮影・井上真)
日刊スポーツと「里崎チャンネル」が初コラボで大型企画を立ち上げ、里崎智也氏と袴田彩会さんはがっちり握手ポーズ(撮影・井上真)

袴田アナ えっ、もういきなり初提言ですか?

里崎 そりゃそうだよ。球界のことはず~っと考えて発信してきたからね。

袴田アナ そうですね。里さんはいつも、対案を持ってますからね。

里崎 そうそう。反対だけして対案のない人は、ただ文句言いたいだけ。議論は対案を持ち、建設的に進めた方が楽しいよ。

袴田アナ それでは提言1号をお願いします。

里崎 まずは、何と言ってもFA短縮だね。

袴田アナ ずっと懸念を示してきた部分ですね。

里崎 この問題は難しいよ。ただいくら選手側が主張しても、可能性がないものに固執しては意味がない。変えていけるところからの提言です。だから、変わる可能性がほぼない海外FA権は9年のまま。そして国内FAを6年! 高校、大学、社会人、いろんなカテゴリーを経てもすべてのケースを含めて国内FAはすべて6年。かつ自動FA。おせっ会だから決定します!(現行は高卒8年、大学・社会人7年)

袴田アナ 国内FAは6年+自動FAですね!

里崎 そう、これにはリスクも伴います。選手にメリットもあるけど、自動FAの途端に戦力外もある。

袴田アナ 日本ハムのノンテンダーも話題になりましたね。

里崎 そうだよ。ノンテンダーは言い方がちょっとかっこいいだけで、つまりは戦力外、自由契約と同義だから。

袴田アナ 複数球団からのオファーもあれば、戦力外もある。

里崎 大金が動くだろうね。自動FAで格差も生まれる。でもそもそもプロスポーツ選手はオンタイムで評価されるのが宿命!

袴田アナ そのほかにも影響がありそうですね。

NBO案ならこうなる! 人的補償に代えて指名権譲渡
NBO案ならこうなる! 人的補償に代えて指名権譲渡

里崎 人的補償を廃止です。本当は譲渡金も、人的補償もすべてなしが理想なんだけど、球団側に抵抗感があると思うんだよね。そこで、人的補償だけはなし。誰をプロテクトするかの人選も興味の対象だったけど、廃止です。

袴田アナ となると、元所属球団が納得しない!

里崎 そこで、まずドラフトは完全ウエーバーです。おせっ会だから決定します! そして、Aランク選手を獲得した球団は、元所属球団に旧年俸の80%とドラフト1位指名権を譲渡。完全ウエーバーだから1位候補との交渉権を2人分獲得。これは、でかいよ。

袴田アナ でも、抽選がなくなるんですね?

里崎 抽選はなくなるよ。その代わり、完全ウエーバーだから、心の底からほしい選手を各球団は一本釣り。これは注目だよ。1巡目の最初の球団は「1位の中の1位」を指名。心の底からの「1位の1位」が決定する。これは抽選がなくなるさみしさを上回るね。

袴田アナ 確かに! ズバリ結果が出ますね。

里崎 指名された選手は6年で意中の球団に行けるし。よりシンプルになると思う。Bランクなら同60%+2位の指名権を譲渡、こうやって細部を詰めていけば、自動FAで選手が動いた時も、獲得した球団、元所属球団ともにメリットが明確になるでしょ。

袴田アナ 本当ですね、これならわかりやすいですし、ドラフトとリンクさせることで、元所属球団も自分たちの裁量で補強を練ることができますね。

22年FA国内移籍選手
22年FA国内移籍選手

里崎 つまり、これはすべて戦力均衡化をコンセプトにしてるんだよ。国内FA6年+自動FAを出発点に、人的補償廃止とドラフト完全ウエーバー導入。そこで獲得選手のランクに応じたドラフト交渉権の譲渡を組み合わせて、マネーゲームに強い球団の独り勝ちをある程度抑制する。それが戦力均衡につながり、シーズンの最後まで優勝争いして、ファンの皆さんも楽しめる。その理想を追求したいね。

袴田アナ どこかを改革すれば、なるほど、いろんなものがつながっていくんですね。

里崎 これはメジャーリーグで実践されているもの。「NBO」としては、いいものを取り入れることで球界をいい方向へ改革していきたいから、「メジャー流」を提案させてもらいました。開幕して、すでに現役ドラフトも数球団では効果が出始めている。みんなでアイデアを出して、よりよくしたいと思います。よろしくお願いします。

◆メジャーリーグでは 元所属球団がクオリファイングオファー(QO)を提示したFA選手が移籍した場合、同球団はドラフトの指名権で補償される(1、2、4巡目終了時などに与えられる。条件は市場規模などに応じて変化)。反対に獲得球団は、2巡目以降の指名権を1つ以上失う(条件は財政状態に応じて変化)。国際ボーナスプール(国際FA選手に対する総契約可能金額)も一部も没収される。

※QOとは同年の年俸上位125選手の平均額(22年は1965万ドル=約26億5000万円)で行う1年契約の提示のこと。

◆里崎チャンネル 元ロッテ里崎氏が現役引退後の19年3月から始めたYouTubeチャンネル。チャンネル登録者数約62・5万人。野球界のさまざまな話題を独自の視点で解説する“切れ味鋭い”配信内容に加え、袴田アナとの軽妙な掛け合いも人気となっている。