ファームとアマチュア野球を重点的に取材してきた日刊スポーツ評論家の田村藤夫氏(64)が、12球団のドラフト戦略をチェックした。新人選手の実力はシーズンを通してのみ評価出来る。今回は指名選手の力量ではなく、あくまでも各球団の補強ポイントに沿った指名になっていたか、という視点から行った。

  ◇  ◇  ◇

セ・リーグが1位指名で4球団が交渉権を獲得し、外れ1位までで全球団が順調に交渉権を獲得したのに対し、パ・リーグは抽選で苦しんだ。ロッテは3連続で抽選を外したのは痛かった。ただし、内野手で打撃力で評価が高かった上田(明大)を獲得したことは好材料だ。

日本ハム、楽天も2連続で抽選を外している。特に今江新監督としてはなかなか思うに任せない初ドラフトになったのではないか。それでも古謝(桐蔭横浜大)は前評判が高く、期待は持てる。

日本ハムも左腕細野(東洋大)の指名は大きかった。ドラフトは直前の他球団の公表、非公表によって選手の評価が一気に変動することが時にある。細野は左腕で158キロは非常に魅力。このドラフト戦略の機微がどう出るか、非常に楽しみだ。

西武はもっとも事前評価が高かった武内(国学院大)を引き当てて、松井監督の笑みもはじけた。チームとしても高橋、今井、平良など先発陣は強力。ここに武内が加わるのは大きい。

ソフトバンクは前田(大阪桐蔭)を指名したのが光る。前田は完成度が高い。高校生とはいえ、チャンスは十分にある。そしてパ・リーグでもオリックスは万全のドラフト指名だった。1位で高校生内野手の横山(上田西)を指名できるところに、3連覇してきたチーム力が見える。1位から4位まで高校生指名。ここ数年かけて積み重ねてきたチーム編成の意図を感じる。

田村藤夫のドラフト評価パ・リーグ
田村藤夫のドラフト評価パ・リーグ