昨年最下位の楽天が2位と好調だ。昨季はリーグワーストの打率、得点数と攻撃陣が苦しんだが、今季はともに同2位と得点力アップ。その打線を支えるのが、昨年優勝した西武からFAで加入した浅村栄斗内野手(28)だ。

移籍1年目から不動の3番としてフル出場。存在感を見せる浅村だが、西武時代からは打撃のアプローチが変化。新たなスタイルでチームに貢献している。

   ◇   ◇   ◇

浅村は新天地でも打線の中心を担い、打率は3割に届かないが、打者の攻撃力を表すOPS(出塁率+長打率)は9割を超え、昨季と遜色ない。特に出塁率は自己最高の3割9分2厘。打率はリーグ12位だが出塁率は同7位と、出塁率の方が順位が高いのは浅村には珍しい傾向だ。

打率を落としながら高い出塁率を残せているのは、四球が増えたから。四球割合(四球÷打席)は14・8%と過去最高。今までは10%未満のシーズンがほとんどだったが、今年はリーグ4位と、「四球を選べる」選手になっている。

四球が増えた要因に、打席での変化が挙げられる。かつての浅村は早いカウントから積極的に振るタイプだったが、スイングした割合が昨季から減っており、今季もリーグ平均以下。加えて1打席あたりに投げさせた球数も自身最も多い4・33に増加。少ない球数で打席を終えることが減っており、より慎重になっていることが分かる。打席でのアプローチが変わったことが、今までになかった四球増につながっていた。

優勝球団から最下位球団にFA移籍した選手は、04年村松(ダイエー→オリックス)12年小池(中日→DeNA)に次いで3人目。過去の2人は移籍1年目も最下位だったが、浅村は上位躍進に大きく貢献。チームも浅村にならうように昨季から出塁率、四球割合が上がり、得点力アップにつながっている。西武時代とは違ったスタイルでチームを引っ張る浅村に今後も注目したい。【多田周平】

楽天浅村栄斗
楽天浅村栄斗