後半戦で2連勝して迎えた巨人と、連敗している中日との3戦目。プロの世界では同一カード3連勝はなかなか難しいと言われている。これはあくまでも私の個人的な見解になるのだが「3連勝するぞ」という気持ちと「3連敗はしたらいけない」という気持ちの違いからきているのだと思う。勝っているチームの勢いもあるが、負けているチームの危機感が上回るケースが多いからだろう。しかし今3戦目を見ていると、優勝を狙うチームと諦めてしまったチームという印象しか残らなかった。

巨人の先発は戸郷。今季は8勝を挙げているが、規定投球回数にも届いていないように、内容もいまひとつだった。どうしても立ち直ってほしい存在なのは、説明するまでもないだろう。ところが4回までパーフェクトに抑えながら、5回1死満塁から押し出し死球を与えて降板。まだ2点をリードしているし、打者の京田も次打者の加藤翔も長打力はないタイプ。交代は仕方ないが、今後の成長を期待する意味で続投させる手もあったかな、と感じた。しかし、巨人ベンチはこれまでの起用通り、あっさりと交代させた。

攻撃陣を見ても代打で結果を残した若林をスタメン起用。スタメン落ちした北村は、6回無死一塁から代打で起用した。送りバントでもいい場面だったが、強攻策で空振り三振。若林にしても二塁打は打ったが絶好のチャンスでは凡退。どちらも結果を残せなかったが「レギュラーになりたければ打って結果を残せ」という強いメッセージは、選手に伝わったと思う。

一方の中日の選手起用は、まったく意図が分からない。7回2死から福田を代打に送って右前安打すると、そのまま左翼の守備にもつかせた。守備はうまいと思えないし、2打席目は走者が2人出ないと回ってこない。代打の切り札として起用するなら走者が出るか、せめて無死か1死の場面での起用だろう。木下拓とA・マルティネスがいる中、負けられない試合で34歳の捕手・大野奨のスタメン起用も分からない。3年目の根尾の育成法に代表されるように、若手の起用法も行き当たりばったり。これでは勝ちに行く執念も生まれないし、選手は育たないだろう。

巨人の育成方針ははっきりしている。勝利優先主義の中、競争させて生き残れなければ将来はない。物足りなければすぐに補強するし、死に物狂いでやるしかない環境で鍛えていく。それに加え、原監督の選手起用は明確で、自分の出番や役割がはっきりしている。戸郷の降板だけでなく、小刻みな継投でも起用法が明確で分かりやすいから選手はしっかり準備できるし、負担も見た目ほど蓄積しない。毎年、優勝争いするチームと低迷するチームの差が、明確に出た試合だった。(日刊スポーツ評論家)

巨人対中日 巨人に3連敗した中日与田監督(撮影・たえ見朱実)
巨人対中日 巨人に3連敗した中日与田監督(撮影・たえ見朱実)