80年代に大学生活を送った立場からすれば石田純一さんは、あこがれの存在でした。「トレンディー俳優」なんていう言葉も懐かしいですが付属高校からやってきたおしゃれな連中が「このニット、どうや。シブいやろ」と自慢すると「おお。石田純一みたいやん!」などと言っていたのを今でも覚えています。
長く芸能界で活躍している石田さんが虎党だと知ったのはかなり後になってから。それなら、と長いインタビューをしたのは16年オフのことでした。
金本知憲前監督の1年目が終わったタイミングです。その年は夏場に東京都知事選への出馬騒動などもあったのですが、そのことも含め、ざっくばらんに話してもらいました。
「小さいころから周囲は巨人ファンばっかり。その巨人に対抗する阪神に魅力を感じていた。強いものに向かっていくような気質があるのか。(選挙のことも)そういう思いがあったのかもしれません」。虎党になったきっかけについて、そう話しました。
実際に石田さんは春のキャンプ取材にも来ていましたし、野球、阪神のこともよく知っている。そこまで熱くなる阪神の魅力は何か。過去の名言に引っ掛けて「文化ですか」と聞いたとき、うれしそうにこんな話をしてくれました。
「そう。『阪神は文化』なんですよね。ファンの夢でもあり、生活でもあり。生活のいろいろな場面、例えば居酒屋でファン同士、ああだこうだと言えるんですよ。選手というか、やっている側は『うるさい』と思うかもしれないけど、そういうことを含めて全体が阪神タイガースという文化なんですよ。それが大阪とも言えるけど、こうやって東京にもファンがいるんだし。だから注目度が高いですよ」
関西で発行されるスポーツ紙は阪神の動向が中心です。日刊スポーツは比較的、他の話題とバランスを取っていますが、それでも特にシーズンなどは阪神の報道が大きくなります。そんなとき、石田さんが言った「阪神は文化」だという言葉が頭によぎります。
野球も阪神も文化。そんな文化が、いま新型コロナウイルスの影響で苦境に陥っています。そして元気そのものだった石田さんが罹患(りかん)したというニュースには何とも言えない思いを感じています。
再び石田さんと阪神談議のできるときが来てほしい。そんなことを思いつつ、自粛に努める日々です。





