「こんちわ! 1年ぶりですね!」。世の中がどう思っているかは分からないが新庄剛志監督はなかなか鋭いのです。訪問した日本ハムの名護キャンプ。電動キックスケーターで軽やかに移動する同監督にあいさつするとキチンと止めてグータッチ。そこでそう笑顔を見せてくれました。

「ビッグボス」で大盛り上がりだった昨年と比べ、やや静かなイメージの名護でしょうか。それでもこの人が登場すると一気に華やかになるのは、もう人徳レベル。こちらも思わず笑みが出てしまいます。

「岡田さんの阪神と今年の交流戦は札幌の新球場での対戦やね」。そう話すとサングラス越しにも分かるほどニッコリ笑って、言いました。

「楽しみですね。『ちょっかい』かけますよ!」。これを聞いて、なんだかドキッとしてしまいました。

思い出したのは昨年の6月10日、札幌ドームで行われた交流戦・日本ハム-中日戦です。試合前のメンバー交換の際、新庄監督の姿には仰天したもの。目玉がぼよよんと飛び出すパーティーグッズとおぼしきメガネをかけ、中日立浪監督にあいさつしたのです。

立浪監督は現在の監督にあって硬派の部類に属するでしょう。新庄監督の様子には「なんとも思わない」と感想を述べたようですが、中日はそこで日本ハムに3連敗。前カードのロッテから6連敗と一気に苦しくなりました。

中日はそこまで5割前後をキープ。Aクラスを狙える位置にいたのに「あの6連敗が効いた」(同監督)と振り返る状況に陥ってしまったのです。

球界最年長の岡田監督もどちらかと言えば硬派でしょう。そのときの両軍の状況にもよりますが、新庄監督が一体、どんな「ちょっかい」をかけるのか。そしてそれが岡田阪神にどう影響するのか。

まずは月末に予定されているオープン戦が「岡田阪神VS新庄日本ハム」の初対戦です。大阪人の岡田監督だけに新庄監督が何をやっても「新庄。そんなん、お前」と平然と受け流すかもしれませんが、本番の交流戦、半年先が今から楽しみになってきました-。【編集委員・高原寿夫】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「高原のねごと」)