発表から10日経過しましたが、恥ずかしながら、まだ興奮しています。ニューヨーク・ヤンキースから8年ぶりに広島カープに復帰する黒田博樹投手(39)のことです。

 1年契約で年俸4億円プラス出来高払いと、広島としては破格の契約のようですが、ヤ軍での昨季年俸は1600万ドル(約19億2000万円)。さらに今季、もし残留していても20億円前後は間違いない状況だった。

 おカネの話で申し訳ないけれど、黒田は15億円以上を棒に振って、古巣に戻るわけです。言うまでもなく、これは、すごいことです。

 新しく就任した緒方孝市監督もバリバリの主力選手だった99年にFAで巨人から誘われましたが、条件では見劣りのする広島に残留した経緯があります。

 この世はカネだけじゃない! ということを実践する、おそろしい、いや素晴らしい人間の集まりとしか言いようがない。広島といえば昨年亡くなった菅原文太さんの映画「仁義なき戦い」を思い出すけれど、今回は義理と人情の補強といっても過言ではありません。

 これには他球団も戦々恐々です。近年ではすっかり広島とライバル関係になった阪神の南信男球団社長も「(広島は)雰囲気がいいわな。何億も捨てて戻ってくるんやからな…」とその効果を恐れます。

 黒田と、早い時期でのメジャー入りを狙う前田健太投手が主力として顔をそろえる最初で最後のシーズンとなるかもしれない広島の今季。セ・リーグ、いや球界の注目の的なのは間違いありません。