年末を迎えた。いつも通う銭湯で、久しぶりに虎党が集まった。さらば2022年、早く来い2023年…。ファンは早くも希望の2023年を待っている。

「そらそうよ、って、これ、商標登録されて、オレらが使ってもいいんかな」「アレを目指すんやから、ファンも岡田語をドンドン使って、盛り上げなアカンで」。笑い声の絶えないサウナ室。これがいまのファンの心情といったところか。

岡田彰布が監督に就任して2カ月。忙しすぎて、僕は監督と会うことが少なくなった。それでも電話で話している。声のトーンは明るく、弾んでいる。「忙しいけど、これも仕事やし、うれしいことやと思っている」。年末はゆっくりできるらしいし、そこで自分ひとり、来季の構想を練る。それが監督にいる間の年末ルーティーンだ。

そこで岡田プランを僕なりに考えてみた。2023年シーズン、開幕戦のオーダーは? これが今回コラムのテーマです。

この2カ月、岡田との会話で浮かび上がった攻守両面の最強オーダー。それを記してみる。

【1番センター・近本】これは不動。今年、近本は3番を打つことがあったが、岡田はこれに「?」をつけた。「なんでやろ。一番ヒットを打てるバッターやんか。彼の特徴を生かすのは1番でしかない」。そこに注文をつける。まず優先すべきは出塁率。ヒットの他、四球を選ぶのも近本の仕事。四球を増やせば、率が上がる。「ねらうは首位打者よ。十分可能性はある」と断言した。

【2番セカンド・中野】セカンドにコンバートさせたのは岡田の意向だ。少し弱い肩の弱点をセカンドでカバーできる。守備の軽減は打撃に生きる。中野のバッティングを岡田は高く評価している。「近本の出塁を生かせる打撃やな」。中野の役割は増える。それにこたえるだけの進歩を認めている。

【3番レフト・ノイジー】ここは流動的と思っているけど、まずは新外国人のプライドも考え、3番に置く。いきなり下位を打たすのも…と、それなりに配慮するし、第2のシーツを頭に描いている。

【4番ファースト・大山】ここも不動である。甲子園での右の4番。これを岡田は望んでいたし、大山のここまでの成長曲線、意識の変化を喜んでいる。佐藤輝と競り合わせるつもりだったが、4番レースは断然、大山がリードした。「4番らしいバッティングをしたらエエんよ。ホームランもあるし、三塁線をファウルにならないライナーで抜く。そういう光景が目に浮かぶ」。岡田の期待のほどがうかがえる。

【5番サード佐藤輝】4番が決まると必然、佐藤輝は5番に。この秋、佐藤輝にダメ出しした。おかしな空気が流れたけど、岡田はまったく気にしていない。「本人が一番わかっているやろ。問題はここからやんか。自分で考えてやればいいわけ」。突き放してはいない。佐藤輝の魅力を十分わかっている。だからクリーンアップは外さない。6番や7番を打たせれば、ガクッとくる。人間の機微というのか、それを理解しているから5番を任す。僕はそうみている。

【6番ライト森下】ここがポイントになる。ライトのポジションが空いている。候補は多くいる。高山、井上、前川…。だが、ドラフト1位をぶつける。もちろんキャンプ、オープン戦でのデキ次第だし、故障しない前提で、岡田はルーキーを大事な6番に充てるはずだ。新人をいきなり…なんて、岡田には大したことではない。「そんなん、エエものはエエんやから。よければ起用する。当たり前の話やんか」。2004年の鳥谷の再現を望んでいる。

【7番ショート小幡】ここも激戦区だけど、まずは守備重視で小幡を抜てきする。木浪との争いだが、伸びしろでいけば小幡か。打てなくていいから、守りをしっかりと。中野との二遊間がうまく機能するか。打撃ではなく小幡の守備力しか頭にない。だから2023年はショートがキーになる。

【8番キャッチャー梅野】捕手併用策は終わりを告げる。梅野にシーズンの大部分を託す覚悟はできた。ここもショートと同様、守り重視。だから打順は8番。「昔から8番はキャッチャーやったわけ。それでエエんとちゃうか」。

【9番ピッチャー青柳】青柳への信頼感は半端ない。リーグでトップクラスの先発投手の位置づけだし、投手陣の不動の軸。エースは青柳と岡田は認めている。それは負け数の少なさ。貯金を多く作れる投手だし、タフでもある。メンタルも強く、エースの称号にふさわしい投手と語る。

これが2023年の開幕オーダー。岡田の話を踏まえて考えたのだが、守りだけではなく、攻撃的にも戦える。さあ、このオーダーを描きながら、夢ある新年を迎えようではないですか。(敬称略)【内匠宏幸】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「かわいさ余って」)