キャンプも終盤に入った。「監督からピリピリ感が半端なく漂ってきました」。沖縄からの報告。日刊スポーツのトラ番キャップ、石橋から連絡があった。
開幕まで1カ月。ここからシビアな選択に入る。実戦を通し、先発メンバーを決めていき、開幕1軍枠のメンバーを選定する。この作業が監督の仕事になる。
レギュラーはほぼほぼ決まった…という感じか。開幕投手を含めて9人。青柳、梅野、大山、中野、佐藤輝。そして近本が不動であり、残るポジションも遊撃は木浪が優勢。残る外野の2人枠。外国人で決まると思われたところで、調整に狂いが生じ、ルーキー森下、そして井上が台頭。ここから詰めの段階に入るわけである。
「そらレギュラーを固定できるに越したことはない。でもな、チームの強さの源は、戦力層の厚みやと、オレは考えている」。岡田の持論は変わらない。長いシーズン、何が起きるかわからない。レギュラーが故障したり、大不振に陥ったり。そこをカバーする戦力がガタッと落ちれば、たちまち勝負に影響する。危機管理を万全にして、アクシデントに対応できる層の厚みを構築する。これが強いチームの絶対条件といえる。
そこで気になる3選手のことに触れる。3人は1992年、1993年生まれの30、31歳。1年前、前政権の矢野体制で重用されたメンバーだ。坂本、糸原、原口。このキャンプでは、ほとんどスポーツ紙に扱われることがなく、1年たって大違い…の象徴的な立場になっている。
岡田が監督になって、完全に干されている、といった風評もあるようだが、岡田にはそんな意識はないし、3人とも間違いなく開幕を1軍で迎えるはずだ。そんな立場を3人はどう受け止めるか。例えば坂本だが、1年前は選手間で選ばれたキャプテンだった。いろいろとチームを盛り上げるために、アイデアを出してきたが、いまはそんなムードはない。パフォーマンスより、あくまで力勝負のレギュラー争い。捕手に関して岡田は梅野を正妻と明らかにしているし、坂本はあくまで控え。でも、この2番手のポジションが重要なことを岡田は肝に銘じている。
前回の監督時、矢野という不動の捕手がいた。しかし、ポジション柄、すべてのゲームに出続けるのは困難。あの時も野口だったり、2番手捕手の存在は絶対に必要だった。
143試合で梅野には120試合先発。残りを控えでまかなう構想を立てているようだが、若い捕手はまだまだキャリア不足で力不足。当然、坂本に期待するしかない。もちろん、梅野を追い越す…という心持ちは必要だが、坂本の控えとしての力、これがチームの層の厚みといえる。
原口には阪神に受け継がれる系譜を大切にしてもらいたい。古くは川藤、真弓、八木、桧山、関本ときた代打の切り札。これを継承するのは原口である。「ホンマ、ずっと結果を出しているからな」。岡田が認めるように、今年も打撃で違いを見せている。「代打? そら大事よ。勝負どころで出すわけやし、力ととも勝負強さが求められるわけよ。ここ一番、迷いなく起用できる存在。これはチームに絶対に必要やんか」。現状、岡田は原口の勝負強さを認めている。
さて糸原である。昨年の起用法は矢野の偏重といった見方が、ネットで氾濫していた。守備位置、打順について、あまりに偏ったものとして、ファンの間では批判的だった。岡田体制になり、当然、起用法にも変化が出る。もっというと、2軍もなんて声もあるが、まずはそこまでのことはないはず。控えとして、二塁、三塁をこなせる強みと、それなりの打撃力は、やはり若手にはないもの。岡田もわかっている。危機管理という点において、糸原はかけがえのない選手。そういう評価ではないだろうか。
いずれにしても年齢的にチームの中ではベテラン(といっても他球団なら中堅だが)が、どういう形で開幕を迎えるのか。残りのキャンプ、そして実戦を通して、存在感を示すことがアレにつながるソウ(層)になる。【内匠宏幸】(敬称略)(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「岡田の野球よ」)




