1カ月に及ぶキャンプが終わった。岡田彰布の監督としての最終章。沖縄に詰めていた番記者、ベテランの記者、球界関係者、OBによると「岡田は間違いなく変わった」の声が圧倒的だった。

「やはり年齢によるものなのか、本当に丸くなっている」。丸くなった? 前回の監督時、よく怒っていたし、愚痴をこぼしていた。この怒りこそが、岡田のエネルギーだったのだが、今回はほとんど怒りを表すことはなかった。

本人もそれを認めている。「あまり頭にくることがなくなったわ」。それはまさに好々爺(や)の風情だったが、キャンプの最後の最後、ついに岡田火山が噴火した。

「日本の野球をナメたらアカン」。鬼龍院花子ばりのすごみのあるセリフで、外国人投手を糾弾した。ホンマにナメたら、アカンぜよ! 外国人投手3人が最後の実戦登板で調整遅れを露呈。その結果だけで、怒ったのではない。岡田の指示を聞き流し、投げ込みを行わなかったプロセスがあったから、怒りは沸点を超えたのだった。

あれから数日…。キャンプを終え、久しぶりに戻った自宅。岡田はテレビを見ていた。メジャー・リーグのオープン戦、エンゼルス対ジャイアンツの模様が流れていた。いきなり大谷がヒットを放った。このシーンを見た時、薄らいでいた怒りがまた湧いてきた。

「大谷が打った投手やけど、バリバリのローテーションピッチャーとか。そんな投手がオープン戦のスタートから投げているんやで。メジャーでもそうなのに、何でウチの外国人投手は遅れているんよ。こんなん、メジャー流でもないで」。岡田は久々に声を荒らげていった。

ブライアン・ケラーはメジャーの経験はないが、いわゆるメジャー流のスロー調整を崩さなかった。もうひとりジェレミー・ビーズリーはメジャーで投げており、こちらもブルペンでの球数は少なかった。これがアメリカの調整法とばかり、首脳陣の指示を無視するかのように、自分の方法を優先させた。

これに岡田は怒ったのだ。当初は外国人の考えを尊重したものの、一向にペースが上がらず、おまけに投げ込み不足は明らか。「アメリカから(ジェフ)ウィリアムスが来てたよな。アイツも日本のやり方を伝えているはずやのに、それを取り入れてない。何で? そんなん、わからんし、知らんわ」。

大谷と藤浪の対戦を観戦するはずが、メジャーでも調整は早く進められる…ということを確認。阪神の外国人投手の出遅れに、岡田はさらなる危機感をのぞかせた。

「打線は心配していない。それよりピッチャーよ。それもブルペンよ。ここが最も気になるところやね」。イメージとして阪神は投高打低のチーム構成と思われがちだが、監督の現状の心配事は投手陣にあった。

ブルペンの強化。これを担うはずのビーズリーは出遅れ、膝を痛めて離脱のピンチとなっている。獲得にあたり、古傷の膝は完治しているとの調査報告を受けてゴーサインを出した経緯がある。それがここにきて、また膝の故障とは、岡田は本当に外国人との相性がよくない。

「そもそも投手、野手5人をフルに活用するとは考えていなかった。ポイント、ポイントで働いてくれれば、と思っていたけど」。こうなった以上、外国人抜きで戦うことも視野に入ってきた。「外国人を起用せずに、公式戦1試合をまかなうこと? そら十分に考えられるしな」と、現時点で外国人抜きの純国産チームで戦う覚悟もできあがっている。

ナメられてばかりではおれない。残り1カ月、開幕に向け、日本流を外国人にたたき込むことに決めた。郷に入れば郷に従う…。これから外国人をどう掌握していくのか。見ものが増えた。【内匠宏幸】(敬称略)

別メニューでグラウンドを離れるビーズリー(右)(撮影・上山淳一)
別メニューでグラウンドを離れるビーズリー(右)(撮影・上山淳一)