阪神の新監督が、新たな改革案を出し始めた。岡田彰布の前政権下では絶対にない「禁煙制度」を打ち出した。チームとしての活動中は喫煙を禁止するというものらしい。
岡田は愛煙家だった。ゲーム中もベンチの裏でタバコをくゆらせていた。これは岡田流の行動で、このひと時で次のゲームプランを考え、リセットの時間にあてていた。
藤川球児はこれを見直すという。これも時流に沿ったものだし、この考えに賛同する声が多いと聞いた。まあ、ヘビースモーカーの自分にはとても耐えられないことになるが、チームとしての決め事。今後、どういう変化を示すのか、実に興味深い。
実務的なことでは秋のキャンプに39選手を参加させることが決まった。近年で最大規模の陣容で「実りの安芸」を球児は描いている。
秋のキャンプは重要な期間になる。これは前監督がいつも口にしていたフレーズだった。「いわゆる個人の力量をアップさせる期間。チームプレーの練習より、個人練習にあてる時間が豊富になる。ここで徹底的に個人を磨き、鍛える」。
球児も精力的に動くだろう。甲子園での自主トレーニングでは、自ら若い選手に声をかけ、投手陣には技術的なアドバイスを直接送った。それらが報道され、活字になって読み終えると「らしいな…」と感じることばかりだった。
球児の野球論。解説者としての内容は、視聴者には「わかりやすい」とか「的を射ている」とか好評だったと聞いた。しかし、時に難しい言い回しが多くあり、内容が深すぎるといった指摘もあった。
それを球児本人にぶつけたことがある。「僕の解説、どうですか?」と聞くから、正直に返した。「難しく語り過ぎとちゃうか。ファンがはたして理解できるかどうか。そこを感じるけどな」。そうすると球児は言った。「そうですか。どうしても野球を深く考え、深掘りしてしまうんですよね」と苦笑いしていた。
深く考えすぎて、それを言葉にすると難しい表現になってしまう。これも球児の独特の感性なのだが、それは監督になって、どう紡いでいくのか。いまは投手陣に対して、直接、タイムリーなアドバイスを送るが、問題は攻撃陣に対するアプローチ。僕はそう見ている。
いまのところ佐藤輝や中野に「チームを引っ張ってくれ」といったあたりを伝えているようだが、これがバッターの技術論にまで踏み込んでいけるかどうか。投手出身監督の未知の領域だし、過去にもこの部分で苦しんだ投手出身の監督を多く見てきた。
そのためにコーチがいるのだが、最終的に攻撃面でも打線をどう組み、どう作戦を立て、どう得点に結びつけるか。これは監督の責任になる。これから始まる実戦キャンプ。球児監督の打撃陣へのアプローチの方法に注目したいと思っている。(敬称略)【内匠宏幸】(ニッカンスポーツ・コム/野球コラム「岡田の野球よ」)




