5月27、28日に沖縄セルラースタジアム那覇で行われた早実の沖縄招待試合。

 早実・和泉実監督(55)が、野手陣の投手起用で不安定な投手陣への奮起を促した。

 先陣を切ったのは、4番野村大樹(2年)だった。27日の美里工戦で3点リードの8回から登板。2回を無安打無失点に抑えた。最速135キロをマークし、カーブ、スライダー、スプリットも投げた。1年時から三塁が本職だが、春季関東大会から捕手で出場。美里工戦は5月6日の千葉黎明戦以来、2度目の実戦登板だったが結果を残した。

 野村の投手起用について、和泉監督は「度胸がいいので。どんなチームが相手でも、臆することはないと思います。(試合展開が)難しくなった時に、度胸は大切なアイテム」と説明し、こう続けた。「投手陣も自尊心をくすぶられているでしょう。戦力底上げのためにね。競争心をあおっていければ」と話した。

 翌28日の美来工科戦は、雪山幹太(2年)が登板した。春季関東大会前まで正捕手で、関東大会以降は外野手で出場。野村とともに中学時代は投手の経験はあるが、高校では初登板だった。4点ビハインドの4回から、6回3失点のロングリリーフ。最速は137キロでカーブ、スライダー、フォーク、シンカーと多彩な球種も交えた。

 和泉監督は「(雪山は)気持ちも強く、センスもあるし、勝負強い選手」と評した。野手の投手起用は投手陣の奮起を期待したのが最大の理由だったが、雪山にとっても違った効果が生まれた。捕手も務める雪山は「配球を考えながら、ピッチングすることができた」と話した。捕手目線ではなく、投手目線で打者を見られたことは今後につながる。

 早実は3、4日に愛知県での招待試合に臨む。通算100号にあと4本に迫る清宮幸太郎内野手(3年)だけでなく、和泉監督がいかに投手陣を強化していくかにも注目が集まる。【久保賢吾】